まるかぶり



―――――コンコン
召喚課の課長室のドアが控えめにノックされた。
「どうぞ。」
巽の声に促されドアを開けて入ってきたのは都筑だった。
「巽、また書けた分持って来た。」
都筑が差し出した書類の束を受け取った巽はパラパラと捲る。
「密に見てもらったから多分大丈夫だと思うんだ。」
「ふむ、確かに書式としては整ってるようですね。中身は後でゆっくりチェック
しますよ。」
「うん。」
「それにしてもここ数日随分真面目にデスクワークに励んでますね。ずっとこう
だと私も助かるんですが。」
途端に都筑は情けない顔になる。
「ずっとこんなこと続けてたら俺頭痛くなっちゃうよ。」
巽は立ち上がると都筑の両の頬を摘んで遠慮なしに引っ張った。
「あんたねえ、どの口でそんな馬鹿なこと言ってんですか!あんた以外は皆ちゃ
んとやってんですよ!」
「ひ・・ひたひよ・・・巽。」
巽は手を離すとどっかりと椅子に腰を下ろした。
「何が望みなんです?」
「え?」
涙目になって頬を擦っていた都筑は驚いたように顔を上げた。
巽は呆れたようにため息をつく。
「あんたが真面目に書類書きをする時は下心があるに決まってますからね。」
ずばり見透かされて都筑はバツの悪そうな顔になる。
「下心なんて・・・・・ただ俺は明日また巽とお寿司食べたいなと思って・・・」
明日は節分、都筑の言うお寿司とは恵方巻のことだ。



一昨年の節分、巽は都筑を自宅に招待して一緒に恵方巻を丸かぶりして悲惨な目
に遭った。
都筑の作った赤出汁を飲む羽目になった巽は自分の口から胃にかけて影空間を作
った。
しかし仮死状態になることは免れたものの影がダメージを受けて丸一日寝込むこ
とになった。
騰蛇の業火にも平気だった影にダメージを与えるとは都筑の料理恐るべしである。



巽は都筑がこう言い出すことを半ば予想していた。
そしてそれは都筑が真面目に仕事し始めたことで確信に変わっていた。
よって都筑を傷つけずに自分の身を守るための対策もちゃんと考えていた。
「どうせそんなことだろうと思いましたよ。」
巽は大げさにため息をついて見せた。
「・…あの・・ダメ?去年は出張でできなかったから今年は絶対に一緒にやりた
いと思って。」
「ダメじゃないですけど、どうせなら今年は皆でやりましょう。」
「え?」
「私が皆さんの分も作ってきますから昼休みに皆で食べましょう。」
「そんなたくさん作るの大変じゃない?それに材料費だって。」
「大丈夫ですよ。巻き寿司なんてそんな手間の掛かる物じゃありませんし。それ
に材料費のことなら皆さんに良心的な価格で販売しますから心配ありませんよ。」
そう言ってにっこり微笑む巽に都筑は引き攣った笑顔を返した。
まあ市販の物より断然美味しい巽の寿司がそれなりの値段なら皆文句は言わない
だろう。
尤もどんな値段でも「いらない。」と断れる勇気のある者はいないだろうが。
「都筑さん課室に戻ったら皆にそう伝えておいて貰えますか?」
「うん、分かった。・・・でも巽と二人が良かったな。」
巽は席を立つとしょんぼりしてしまった都筑の傍に行きポンと頭に手を載せた。
「明日も仕事頑張ったら夕食にご招待しますよ。」
「ホント?」
都筑の顔がぱっと輝く。
「ええ、仕事進んだ分だけ料理を豪華にしますから頑張ってくださいね。」
「うん!二人で丸かぶりできないのはちょっと残念だけど頑張るよ。」
「そんなに二人だけで丸かぶりしたかったんですか?」
「うん。」
巽はくすっと笑うと都筑の耳元に口を寄せて囁いた。
「じゃあ食事が終わった後、私のを丸かぶりして貰いましょうか?」
「え?・・えぇ〜〜っ!!」
都筑の顔が見る見る真っ赤に染まる。
「その後で私にあなたのを丸かぶりさせてくださいね。」
巽は耳まで赤くなった都筑の肩を抱いてソファーに座らせた。
「そんな顔で戻ったんじゃ亘理さんになに言われるかわかりませんね。お茶入れ
ますから醒めるまで休んでいきなさい。」



(今年は節分が週末でラッキーでしたね。都筑さんには一昨年の償いをたっぷりし
て頂くとしましょう。)
巽はお茶をいれながらこの週末都筑をどうやって味わおうかと思いをめぐらせて
いた。





グレペン




恵方巻きのネタでいただいておりました〜vvv
巽・・・良い感じにエロオヤジでナイスです(笑)
好きです、こんな巽・・・v
都筑さんにまるかじりをして貰った後は
当然都筑さんをまるかじりですよね!(笑)
グレペンさん楽しいお話をありがとうございますv
でも都筑さんの作った赤出汁・・・やっぱり強烈なんだ・・・爆笑