ときめきと小さなため息



どうしてだろう

こんなにたくさんの音に囲まれていても

おまえのため息は聞こえるようで・・・

どんなに小さい音でも

それだけは聞こえるようで・・・

そして その度に俺も溜息をつくんだ




目の前で書類を捲る指を見つめる

細くて綺麗な指

とても器用な指

大好きな 大好きだった指

この指が俺に触れたのはいつのことだろう・・・


その指の動きが止まった

ハッと我に返る

顔を上げたおまえと目があった

「・・・どうしました?」

「え?」

考えていることが伝わったわけでもないのにドキドキする

「いえ、静かだな・・・と」

「報告書が良いかどうか見て貰っている時に騒がないよ」

「まあ、そうですが」

何となく納得がいかない感じでまた書類に目を落とした

俺だって始終煩い訳じゃない・・・失礼だな

少しムッとしながら

彼の後に広がる窓に目を向けた



・・・今日も綺麗に咲き誇る花々

花びらが舞っていた

・・・そういえば地上の花見に一緒に行った事もあったな

そんなことを ふと思い出した

あれはまだふたりがコンビを解消する前のこと

何十年も前のこと

巽の瞳に俺が映っていた頃のこと・・・



「・・・都筑さん?」

声がして巽に目を戻した

「え・・・何?」

「・・・」

黙って俺を見上げてくる

「巽?」

なんでそんな哀しい目をするの

俺は何も言ってないし してないし

ただ昔のことをちょっとだけ思い出していただけなのに

しばらく俺を見つめて

・・・何か言おうと口を開きかけるが・・・

音にならないままに閉じた

そのまま顔を戻し また指が動き始めた



巽は何を言おうとしたんだろう?

俺も何を待ってたんだろう?




・・・かすかなため息が聞こえてきた

それを聞いて・・・・・俺も小さくため息をついた


ね・・・巽?

こんな午後を幾つ俺達は重ねてきたのだろう

そしてこれから幾つ重ねていくのだろう・・・・





窓の外の桜の枝が風に揺れた


2007・3・29
 Mai・Hinase



シチュエーションとしては・・・・
一度別れて再び付き合うようになる少し前・・・ぐらいです
(分かりにくいよ;;苦笑)
本人達が気付いていないだけで結構ラブラブっていうのは好きなんですv