3.
| 「ん・・・・」 腰に回された手でより強く身体を押しつけられて都筑は声を出した。 今日初めてのキス。 朝からろくに顔をあわさなかった。 「・・・・巽、ダメだよ」 「もう少し・・・・」 やっと唇をはずしたときに都筑はようやく訴えることが出来た。 なんだか今日の巽はしつこい気がする・・・それはけして嫌なわけではないけれど。 そしてまたあわせた所から温もりを感じた。 ドサッと手から紙袋が落ちる。 場所は巽の家の玄関先、まだ都筑は靴を履いたままだった。 都筑は巽とのキスは好きだ。 いつも優しく労るように丁寧に都筑を味わってくれる。 それは同時に都筑も巽を味わっているわけだが、巽のようにキスが上手いとは思っていない都筑はいつも翻弄されるばかりで・・・。 全体的にこういうことはリードされているなと都筑は思っている。 もうどれくらいキスを交わしたのだろう・・・巽の首に腕をまわしながら、ふと都筑はそんなことを考えた。 どれくらい・・・・? そんなことを考えるのも面倒なくらい昔から・・・そう思った。 たっぷり何日か分のキスを交わした後、巽は都筑の持って帰ってきた紙袋の大きさに少し驚いてしまった。 「・・・・今年は・・・また・・・」 「うん、資料室にいたときはこれよりもずっと小さめの物だったんだけどね、部屋に戻ったら机の上にもあって・・・ちょうど居合わせた亘理が大きな紙袋貸してくれたんだ」 そう答えつつ上着を脱ぐ。巽はほぼ出来上がっている食事の準備だ。 「でも・・・俺よりか、巽の方が多いんじゃない?」 部屋の片隅に置かれた袋を目ざとく見つけた都筑がとことことそれに近づいた。 「うわ、高級そうなのばっか!」 なんか自分のよりも全体的に値段が高そう・・・ぼそっと付け加えた。 「あまり見ていませんが・・・そうかもしれませんね。でもいいいじゃないですか、それどうせ貴方の胃の中に入るものでしょう?」 「やっぱりいいんだ? しばらくおやつには困らないね!」 そう言って笑う都筑を巽は苦笑して見た。 「ま、お返しが少し大変ですけどね」 しかし巽は3倍返しなどしない。手作りのクッキーやパンケーキを綺麗にラッピングして渡すことにしている。勿論作るのは巽だが、ラッピングはそういうのが得意な都筑の役目だった。その可愛い包みに頬が落ちるような美味しい菓子・・・・それだけで貰った女の子達は大満足だった。 「また来月は何処かで一日中贈り物作りだね」 「静かに過ごせるなら安いもんですよ」 「・・・・それイヤミ?」 きまりが悪そうに都筑が言った。 バレンタインもクリスマスの時でも、そして誕生日の時でも何かしらのイベントの時は、大騒ぎになることが多かった。 ある時は閻魔庁内での内輪でゴタゴタ、またあるときは地上を巻きこんで・・・。 そんな時いつも発端は都筑・・・本人にその気はなくても、いつもそうだった。 「あのさ、今までのだって俺だけじゃないからね!亘理とか・・・・む、邑輝とかが勝手に・・・」 2番目の名前は出そうか出さない方が良いかちょっと迷ってしまった。 どうやっても色々なトラブルを大きくする張本人だ。 「分かっていますよ」 はあ〜と巽がため息をつく。 分かってはいるのだが、つけ込む彼らが悪いのか、つけ込まれる都筑が悪いのかは微妙なラインで・・・少なくとも故意という点では圧倒的に彼らの方に責任はある。 とんでもない物を作って食べさせたり、おびき寄せて美味しい物を食べさせた後で都筑ごと食べようとしたり・・・全く目が離せない。 「何にしても、もう少ししっかりすることですよ、子どもじゃないんだから」 「分かってるよ」 とにかくそんな騒ぎさえ起こらなければいい・・・そう願うばかりだった。 巽が腕をふるった食事をふたりでとり、資料室での様子を聞き、密が何だかんだと言いながらもそれなりの役目を果たしてくれたことに満足した巽は、都筑がこれまた巽特製の羊羹をデザートに舌鼓を打っている間、チョコレートのチェックをし始めた。 相も変わらず男からの物が多いのに眉を顰める。 中にはネクタイや明らかに高級そうな物を一緒に・・・・というのもあった。 「こういうものはお返ししておかないといけませんね」 小さく呟きながら次から次へと物を見ていく。 本当に都筑は女から友達のように思われ、男からは・・・・というパターンが多い。 本人の性格が影響しているのか、そこら辺は巽も頭をひねるばかりだった。 でも巽自身も・・・・だということが完全に抜け落ちていたのだけれど。 「これで良いですね」 とりあえず大丈夫な物、突っ返す物(笑)と簡単に振り分けて・・・一息ついた。 「ねえ、巽!どれか食べてもいいだろう?」 「今それ食べたばかりでしょう!」 「ええ!? だってバレンタインなのに、自分用のを食べられないのっておかしいじゃん!」 「甘いの取りすぎですって!」 「大丈夫だよ、小さいの!少しで良いから!!」 椅子の背を持って振り返る都筑が必死に訴えた。 「でもねえ・・・」 「俺が貰ったのだよ!権利はあるだろう?」 それはそうだ・・・・文句も言わず大人しく持ってきている・・・いうことも配慮しないといけないのかもしれない。 「・・・・仕方ありませんね・・・ちょっと待ってください」 ごそごそと返さない方の山を見てみる。 すると・・・とっても小さなチョコの箱を見つけた。 小さなカードが添えてある。 女性のようらしい・・・・らしいというのは名前がなかったからだ。 箱を軽く振ってみるとトリフのようだ、箱の大きさから見ると2個ぐらいだろう。 巽はそれに決めて、都筑に渡した。 「これなら良いですよ。何処かの女性からのようです。カードはとって置いた方が良いと思いますよ」 「わあ〜レースつけて可愛いね!この花、生花だよ?」 くんと匂って・・・良い香り・・・と都筑が呟く。 「なかなかセンスがありますね」 包み紙も大人しめで良い感じだった。 「開けるの勿体ないぐらいだけど・・・・じゃあ、いっただきます!」 いそいそと包みを開けては、その小さな花をもう一度嗅いでみる都筑だった。 「巽!! 抹茶のトリフが入っているよ!」 嬉しそうな声を上げる都筑に、良かったですね・・・と声をかけて、お風呂の準備をしようと巽はリビングを後にした。 「うわああ〜!!!」 ガタンっ!!! 「都筑さん??!」 浴室まで聞こえるような大きな声と音で慌てて巽が出てみれば・・・・そこには何とも微妙に若返った都筑が・・・。 「・・・・つ、都筑さん?」 「たつみぃ・・・・」 少しダボダボになった服を着て床に座り込んでいる都筑が情けない声を出す。 確か前にもこんな事があった・・・あの時は幼児の姿にまで戻った。 しかし今目の前にいる都筑は・・・・ちょうど年齢的に言えば中学から高校生になるくらいの大きさ・・・身体つきなのだ。 「どういうこと?」 ・・・・ふと巽は何かを思いつく。 でも・・・そんなまさか・・・・慌ててトリフの箱を手にした。 「・・・・ねえ巽・・・まさかそれに?」 「他に考えられませんよね・・・・」 他に食べていない。 「じゃあ・・・・それって」 「他にいませんね・・・・」 「まじかよ・・・・」 ・・・・・亘理さん!!!巽は拳を握った。 きっと女性からの振りをして、何処かに紛れさせていたのだろう。 都筑の机の上に置いてあるのにこっそり加えたのかも知れないし、袋に入れるのを手伝うふりをして入れたのかも知れない。 どっちにしてもチャンスは山のようにあったわけだ。 毎度毎度なんか起こしてくれるが、今回も見事に引っかかってしまった。 しかも今度は見た目10歳程度若返るという何とも微妙な・・・・・。 「巽・・・・」 どうしよう・・・と声をかけられ、巽はあらためて都筑を見た。 顔は元々童顔なのでそう変わった感じではないが・・・微妙に体つきが今よりももっと華奢だ。 胸の厚さも肩幅も・・・・そして腰のあたりまで。 ・・・・悪くない、巽は思った。 じーっと見つめていと、説明のつかない思いに囚われる。 「あの・・・・巽?」 自分を見たまま何も言わない巽に声を掛ける。気のせいかなんか目の色が変わってきているような気がする。 「あの・・・・巽さん? えっとあのさ、何か着替え・・・」 「そのままでいいですよ」 「へ?」 「どうせ効力は長くないでしょうし」 「いや、そうかもしれないけど・・・・」 そんなことを言っている訳ではないような・・・ 「お風呂の準備が出来ているはずです、そのまま入りましょう」 「え・・・・あの・・・」 さ、立って・・・と腕を掴まれ立たされた。ズボンが落ちそうになって慌てて引き上げる。 胴回りも少し細くなっているようだった。 そんな動作をちらっと見て巽はスタスタと浴室へと・・・・。 「え? あの・・・巽? まさかと思うけど・・・一緒とかないよね?」 「一緒ですよ」 「なんで? いつも狭いからイヤだとか言って・・・」 「今は多少身体が小さくなっているから大丈夫でしょう」 「いや・・・・大丈夫って・・・あ、あの巽???」 「なにも心配しなくていいですよ、あのバカには明日思う存分仕返ししてあげますから」 「えっと、それはいいんだけど、そうじゃなくて、俺が言っているのは今・・・・って、おい!巽ったら」 都筑の言葉も聞かずにぽいぽいと服をはぎ取っていく。 ・・・・ああ、良い感じですね。いつもの都筑さんも良いですけど、これもまた・・・ 「巽、やめろって!ねえ!今はそんなことしてる場合じゃ!」 「どうせ少しの間です、それなら楽しまないと」 「お前人格変わってるって!!」 「何を言っているんです、いつもの私ですよ」 「ちょっと・・・離せってば・・・ちょ・・・・ん・・・・・」 キスをされ・・・・いつもの舌づかいに段々溶かされていく。 少しずつ抵抗を失っていく都筑・・・・・。 声にならない都筑の叫びが亘理に届いたかどうかは・・・・また別のお話。 その晩、巽は酷く新鮮な気持ちで目一杯都筑を味わったのでありました。 翌朝、ベッドの中で身体は戻ったけれど、動かせないままに寝込んだ都筑を置いて出てきた巽は、にやにやとする亘理に迎えられた。 「よお、昨日は楽しんだやろ?」 「・・・・そうですね」 にっこり巽は微笑む。 自分たちがあの箱を選ぶ・・・・そんな所までこの男の計画通りだったのか・・・・本当にどうしてくれよう。 「傑作や! 若返りすぎず、ちょうど微妙なラインで止める!久々に燃えるやろうしな」 「・・・・・・」 笑った顔が引きつる。 「ちょっと若い都筑・・・ええやろうなあ〜」 「・・・・あなた何で昨日それがあったと分かるんです?」 「え・・・・そりゃあもうしっかりと」 「しっかりと?」 「・・・・・・なあ?」 まあ気にするな・・・と亘理が笑った。 巽も笑った。 実に爽やかな朝の光景だった。 その様子を見ていた密が席を立ち、足早に部屋を出た・・・・。 その後大きな爆発音が閻魔庁に鳴り響いたのは言うまでもない。 やっぱりいつものバレンタインだった・・・・・v おしまいv |
ちょっと若返った都筑さん美味しそうじゃないですか!!?
高校生になりたてくらいの年頃の都筑さん!!
くはあ・・・・涎が出ます!
出ませんか?(人を巻きこむな;;;)
巽、あれやこれや楽しんだんじゃないでしょうか?
え?そこを詳しくって??
だって・・・それ書いたらここに置けないですよ?(笑)
ということで最後までおつき合い下さりありがとうございましたv
2006/2/21
Mai Hinase