月と・・・


「まだ見ていたんですか」

頭の上からした声に顔を上げる。

空の月から視界が動いて・・・巽の顔があった。

「うん 何となく」

ふっと半分呆れたように溜息をつかれたけど何も言わずに

空を仰ぎ見る。

俺もまた月を見上げた。

今日は中秋の名月・・・・月が明るくて綺麗だ。


ススキに団子にお酒・・・

巽の家に集まってこうやって月見をするのは何度目だろう。

去年もその前もした・・・・確か

でもその前は? そしてそのもっと前は??

時々はっきりしない過去の時間

あまり深く考えると、よく分からなくなるので考えるのをやめた。

今年もとっても楽しかった、それで良いような気がする。

昔のことは昔のことだ。


亘理や課長が歌って、密が酔って料理や月見についての蘊蓄を語り始めた。

後半誰も聞いてなかったが、壁に向かって色々語っていた。

巽は皆が持ち寄る物が少ないと文句を言い、料理を作った。

でもきっと沢山持ってきても巽は料理を作るような気がする。

亘理が聞いたこともない銘柄の酒を持ってきて皆を警戒させ

密が初めて作ったと団子を持ってきた・・・少し形が・・・だったけど味はまあまあ。

俺は此処に来る途中に道ばたにあったススキを取ってきた。

家について渡すと

「ったく、アンタらしいですね」

と、巽にぶつぶつ文句を言われたけど

今はこうやって一番の特等席で月を見てるじゃん・・・俺のススキ。

そして俺はその横に座っている。

奥の方の部屋では酒につぶれたみんなの寝息が聞こえた。



「まだ起きてみてるつもりですか」

「ん?」

今度はまっすぐ巽を見る。

いつの間にか同じように横に座っていた。

「だって・・・・なんだか勿体ない気がするしさ・・・こんなに綺麗なのに」

「もう1時ですよ。明日も普通に・・・」

「分かってるって」

「・・・どうだか」

巽がタオルでまだ湿気の残る髪を拭く。

少しだけ湯気の香りがした。

「お風呂・・・入ったんだ」

「片づけが長引きましたからね!頼りの黒崎君まであの調子じゃ・・・」

と部屋を振り返ると、またため息。

「俺に言ってくれれば良かったのに・・・」

「今は醒めているのかも知れませんが、さっきは裸踊り一歩手前でしたからね。」

そんな人に任せたら食器が幾つあっても足りませんよ・・・と言う。

でも・・・・巽はきっと誰が手伝ってもそう変わらない気がする・・・何となく。



「・・・なんです?」

じっと見ていたら聞き返された。

「うん・・・・巽って苦労人だね」

少し笑って言うと

「大半は誰かさんのおかげです」

即答された。

容赦ないね。


でも・・・不思議だな・・・それが心地良い。


前にもこんな会話したかな?




・・・・もう少し起きていて良いよね?

俺はそう聞きたくって、また月を見上げた。

雲一つ無い晴れた夜空が広がる。

「ねえ 巽・・・」

上を見たまま口を開く・・・






昔見た月と今見ている月、巽には同じに見える?



2005・9・21
Mai・Hinase



えー中秋の名月ネタですが・・・
らぶらぶと取って貰えるかどうか・・・微妙だなあ;;;;
何で私はこんな風なのが多いんだ;;;

都筑さん視点ですv
壁に向かって酔って1人で話す密って可愛くない?(笑)