| 白ではなくて赤がいい 自分の想いを伝えるのは、赤い色をした花なのだから――― 赤き花束 庭の一角に赤い花が咲く。 大家に頼み込んで、庭の一角のさらにその一角に植えた花。 かなり狭い範囲で植えられたその花の色鮮やかさは、殺風景な風景に彩り を与える。 その花がある場所だけ、まるで別世界のよう。 都築は花弁が赤く染まる花を何本か切り、枝についた葉を見栄えがよくな るように切り落とした。それらを一つに束ねると、大きな紙にくるくると筒み こんだ。束になった赤い花はまるで大輪の花のように見えた。 「よし。これで準備完了!」 にっこりとまんべんな笑みを浮かべながら、都築は声をあげた。 朝。 普段ならまだ布団の中で眠っているという時間なのに、都築は珍しく早起き をした。自分の部屋にあるすべての目覚ましを枕元にセットしても普段ならお きられない。だけど、この日だけはどうしても早起きをしなくてはいけなかった。 その理由は花が咲いたからだ。 庭の一角のさらに片隅に植えた、赤い花が。 都築が植えた赤い花は多年草だ。一年中咲く花で、別に珍しくもなんともない。 花びらの色も赤だけではなく、白や黄色、薄いオレンジといろいろある。逆に赤よ りも白や黄色といった方が美しいとさえされている。 都築はそんな美しく咲く花を選ばず、赤い花を選んだ。 冬の時期に咲く、赤い花。特別な意味を持った、赤い花。 赤い花が咲く、その植物の株を手に入れることは難しいこと。半年をかけて手に 入れたその花を都築は大切に育てた。 花が枯れないように。 花が飛ばされないように。 晴れた日も雨の日も。風が強かった日も。 苦労して育てたかいがあったのか、花はとても美しく咲いた。それはどの花より も美しく咲き誇っていた。 自分が育てた花を見て、都築は思った。 (気づくかな〜。気づくよね。この花は“特別”だから。自分の気持ちをうんとこ めて育てたんだから―――――) 花は育てた者の気持ちによって育ち方が違うという。ならば美しく咲いた赤い花 は、都築の思いがたくさんこめられているのだろう。 冬の時期にだけ咲く赤い花を持って、都築は職場へと急いだ。誰もいない召還科 の一角に赤い花を生けるために。ある人に自分の気持ちを伝えるために。 白い花ではなくて、赤い花がいい 自分の想いをあの人伝えるためには、赤ではないと意味はないのだから 赤き花はベゴニア 冬の時期に咲く、特別な花 その花言葉は『片思い』 果たして都築の想いは伝わるのだろうか? それはこの花を見た彼の想い人しか知らないことである。 【後日談】 都築がベゴニアを職員室に飾った翌日、その何本かあるベゴニア花の一輪に紫色をしたリボンが巻 きつけていていた。不幸にも某人物がリボンを巻きつける姿を見てしまった都築の相棒の密は、 一ヶ月の減俸だけですんだのである。 |
| ★リンク記念に・・・・ということで水無瀬 慧様のサイトよりいただいてきたSSです。 巽都に花を絡ませるお話は大好きなので嬉しいです。 水無瀬様、ありがとうございますvv 私も花をテーマに書きたくなりました♪ 水無瀬様のサイトへはリンク部屋よりどうぞv |