『あまい熱』




「えっ、巽が休み・・・?」
「あぁ、さっき連絡があってなんか熱があるとか言うてたな」
亘理の声に都筑はもう仕事どころではなくなっていた・・・。



ピンポーン―――…

応答がないので都筑は合鍵を取り出し巽の部屋に入った。
寝室では巽が寝ていて、額には汗を浮かべ寝苦しそうだった。
(こんなになるまで無理しちゃって。・・・巽らしいけど)
このところかなり忙しかったようで数日前から顔色が悪かったことを思い出す。

都筑は巽の額に手をあてる。
(けっこう熱があるな。冷やさないと)
洗面器に氷水を張りタオルを絞り額にのせてやる。
そして自分はベッドの側の椅子に腰をおろした。
タオルの冷たさが心地よいのか、しばらくすると巽の寝息が落ち着いてきた。

――――巽の柔らかそうな栗色の髪に指先でそっと触れながら。
こんなにじっくりと巽の寝顔を見るのは初めてだと都筑は思った。
整った目鼻立ち、形良い唇。きれいな顎のライン・・・。
眼鏡をかけた普段の顔よりも寝顔の方がずっと若く見える。
(こうやっていると仕事の時の巽と別人みたい。なんかちょっと可愛いかも♪)



「・・・んっ・・・・」
巽がうっすらと目を開けた。
まだ眠りから覚めきらないのかボッ―としているようだった。
「巽・・・」
「・・・つ、都筑さん!?どうしてここにいるんですか?」
巽はいきなり起き上がろうとしたが身体に力が入らずまた布団に身体を預ける。
「風邪だって聞いて心配で来たんだ」
不安そうな色を浮かべ自分を見つめる愛しい紫の瞳。
「心配をかけてしまいましたね。でも眠ったらだいぶ良くなりましたよ」
そう言うと都筑は安堵の表情を浮かべた。
「すごい汗かいているみたいだから着替えた方がいいよ」
都筑は巽の着ている物を脱がせ汗を拭いてやり、新しいパジャマに着替えさせた。

「薬は飲んだ?」
「いえ・・・」
「薬飲むんだったら何か食べた方がいいよね。ちょっと待ってて」
そう言うと都筑は台所へ行ってしまった。
いったい何が出てくるのやら・・・と巽が怪しんでいる間に都筑が戻ってきて。
「桃缶買ってきたんだ。風邪の時はこれがいいんだよ」
都筑が持ってきたガラスの器には一口大に切った桃が入っていた。

「はい、巽。あーんして」
「いいですよ、都筑さん。一人で食べられますって」
「だめ。そんなこと言ったって病人なんだし、まだフラフラしてるでしょ」
確かに都筑の言う通り起き上がれるような状態までは回復していない。
仕方なく巽は都筑の手から桃を食べることにした。
桃は冷えていて喉を通るときひんやりとして気持ちよかった。



薬を呑んで巽はまたベッドに横になったが妙に目がさえてしまっていた。
身体はだるくて休息を欲していたが。

「なんだかいつもとまるっきり逆ですね」
「いいの!病人はそんなこと気にしないで早く寝ること」
いつになく真剣な眼差しの都筑に巽は優しく微笑んだ。
「巽。どうしたの?眠れない?」
「ちょっと目がさえてしまって。でも都筑さんのおかげでずいぶん楽になりましたよ。
 ありがとうございます」
「良かった〜」

「ところで都筑さん、ちょっとお願いがあるんですが」
「んっ、何?」
「おやすみのキスをしてくれませんか」
「ええっ!?で、でも・・・」
「大丈夫ですよ。キスぐらいで風邪はうつりませんから。
 それに都筑さんがキスしてくれたらきっとよく眠れると思うんです」
「・・・・・・・・・」
「麻斗?」
「・・・・・・今日は特別・・・」

都筑は頬を染めながら巽の唇にそっと触れるだけのキスをした。
―――次の瞬間、都筑は巽の腕の中にいた・・・。
★杜若様から素敵な巽都をいただきましたvvv
巽の誕生日&企画の御礼ということで・・・(*^_^*)。
とっても嬉しいです、ありがとうございます〜♪

それにしても巽ったらv
都筑さんに甘えちゃって・・・こんな巽も好きだなあ。素直に甘えてくれるのもいいよね。
でも・・・絶対うつっていると思うな風邪(笑)。
だって巽だもん・・・・ね?(ね、って・・・・?)

杜若さまありがとうございます〜いつも素敵なSSをいただき本当に嬉しいですv