逢瀬

よく晴れた空に沢山の星々

晴れて良かった・・・と思う


・・・・そう思うけど・・・・・


何故か心から喜べない

もう何回目か分からない溜息をつく




「まだ見ているんですか?」

お風呂からあがった巽が呆れた様に声をかけてくる

巽が食事の後 片づけをしている時から

子供のように窓に張り付いて空を見上げていた

もう何日も前から今夜の天気を心配していた




「うん・・・だって今夜逢えるんだなと思ったら・・・」

振り返って都筑が答える

笑っているけど笑っていない顔


・・・また何か考えていましたね・・・


久しぶりに見た都筑のそんな表情に心が騒ぐ

そんな顔をさせないように家に呼んだのに

共に時間を過ごそうと思っていたのに

自分だけを見つめて欲しい

不安なんか感じないように

あなたを包みたいのに・・・



また窓へと向き直った都筑の背中に近づく

心の中の思いをすべてさらけ出せば

この大切な人を包み込むことができるのかどうか

今の巽にはまだ分からない


まだ越えられない壁がある

まだ見ることの出来ない闇も・・・





「1年に1回ですからね・・・」

都筑の背中を見つめながら巽が呟く

都筑も頷く




満天の星々の中で出逢えた2人は何を話すのだろう

お互いのぬくもりを感じ合うことは出来るのだろうか



自分なんてこんなに側にいて

そのぬくもりを感じても

もっと もっと・・・と欲してしまうのに・・・

どこまでも求めて 求めて 求め尽くして・・・




嬉しいけど・・・・哀しいね・・・・

小さく小さく呟いた都筑を

巽はそっと抱き寄せた



いつの日か

この想いであなたを満たす事が出来るように

あなたの悲しみを包み込むことができるように・・・


星に願うことがあるとするならば今はそれだけ






夜空に瞬く星の中の恋人達を自分達に重ねながら

2人の夜は更けていった

2002・8・6
M・Hinase

★旧暦の七夕ということで・・・・闇ねっと蜃気楼城に出していたSSを肉付けしてUPしました。
先月UPした七夕ネタのが明るかったので、今度は切なげに・・・。天候的には旧暦の七夕の方が理にかなっていると言います。雨の心配がないですからね。

星の海の中での逢瀬を思い浮かべながら、今夜空を見上げて見ませんか?