寝る場所には気を付けよう!



「ふふふ、都筑ぃ〜〜」
「なんだよ、変な笑い方して。」
5時近く、帰り支度を済ませた亘理が書類に追われる都筑に背後から声をかけた。
「今日は残業か?」
にやにやしながら話す亘理に都筑は顔をしかめる。
「そうだよ! 仕方ないじゃないか、これが終わらないうちは帰しませんよ!って巽に言われたんだから。」
「ほお、巽にね。」
相変わらずにやけている亘理を見ながら都筑は頬を膨らます。


中庭に行ったのが昼の1時。
巽が呼び来たのが1時半で。
それから少し寝かせて・・・・と言ったことは覚えている。
なのに、どういう訳だか、ふと目を開けたら巽が寝ていて・・・・。
・・・寝ちゃったのかな・・・・
時計を見る3時半。
起こさないとやばいよな、そうだよな・・・と思いつつも巽の寝顔なんて久しぶりなものだからついつい起こさずにいたら4時過ぎて巽が目を開けて・・・・
そして烈火のごとく怒られた。
仕事をさぼったのは悪いけど、なんでそこまで怒るんだよ!
というぐらい怒られて・・・。
巽だって寝てたのに!


「ま、せいぜいがんばりや!」
ぽんぽんと都筑の頭を叩いて亘理が部屋を出ようとしたら巽が戻ってきた。
「まだ5時前でしょう、亘理さん!」
「まあまあ、もうあと5分やし。」
「何言ってるんです! それにさっき渡した書類だって」
「巽。」
亘理が声を潜める。
「おまえら、余裕やな、あんな所で寝るなんて。」
「な、なんでそんなこと。」
「アホ、2,3時間全職員がみんなお前らこと見とったわ。」
「なっ!」
巽の顔が真っ赤になる。
「ねえ、何話してるの?」
亘理の声が聞こえない都筑が叫ぶ。
「寝るなとは言わん。でもあそこはまずいやろ・・・。」
確かに近くに建物はあったが、まさか見られていたとは・・・!
「今後は気を付けや〜。」
じゃあな〜、亘理が巽の横をすり抜けていく。
「ねえ、ねえ、何? 何があったの?」
無邪気に駆け寄ってくる都筑を見ながら巽は目眩がしそうになる。

多くの人が見ている中で木に寄り添って寝ていたのか・・・・。
無防備に!
この私が!

「ねえ、巽ったら!」
きっ、っと都筑を睨みつける。
元はといえばこの人が席を離れたことがすべて!
「都筑さん!」
「え?」
「アンタ、今日は徹夜してこれ仕上げなさい!」
バーンと持っていた書類を全部都筑に押しつける。
「そ、そんなー酷いよお。これだってまだ出来てないのに!」
「だから徹夜しなさいって言ってるでしょう!」
「何怒ってんだよ!」
「怒りたくもなりますよ!」
「何で!?」
「うっ。」
「寝てたことだったら、巽だって同罪だからね!」
「何言って・・・」



ぎゃあぎゃあと怒鳴り合う二人をこっそりドアの隙間から亘理は見ていた。
「アホや、あいつら・・・。」
静かにドアを閉めても、中の声が聞こえてくる。
「まあ、どっちもどっちやね。」
あんな中庭の隅、だれも気づかんわ、と首を振る。
でも、どうせこの声が他の課に聞こえてまた噂の種にされるのだろうが・・・。
ふうっと息を吐く。
「ま、こっちは小遣いでも稼がせてもらいましょうか。」

ニッコリ微笑んだ亘理の手には木の下で寄り添うように眠る二人が映った写真。
「さてどこの課からまわりましょうかね〜。」
亘理は背伸びをしながら、まだ声が響く部屋を後にした。




巽が偶然写真を手にするのは数日後。
その後しばらく亘理の姿が見えなくなったことは言うまでもない。

2002・7・19
M・Hinase

★いや・・・・何もコメントはないです・・・;
というかどうしてこういう続編を書くのか自分が不思議(^^;)。
切ないままにしとけよ!と自分に突っ込みを入れたりして;

すみません・・・・・・。