想い




・・・・まただ・・・・

夜中、ふと目を覚ました巽は隣で眠る都筑を見る。

濡れている頬・・・

そっと手を伸ばし起こさぬように拭き取った。

「う・・・・ん・・・・」

寒いのか、身を寄せてくる身体を抱き寄せる。



今日出張先から直接巽の所へ来た都筑は妙にハイテンションで

食事の間も話題が尽きなかった。

泊まったホテルのこと

密に怒られたこと

近くの観光地のこと

食事のこと・・・・

でも出てこなかった仕事のこと。

巽もあえて聞かなかった。

詳細は仕事を振り分ける段階で分かっている。

都筑が話さない以上、巽がここで聞くことはない。

そうこれは仕事だから。



都筑はいつものようにお酒を飲んで

いつもよりも激しく巽を求めた。

その心が分かるから巽もそれに応じる。

それで何かが癒されるのならばそれでも良いと自分を納得させながら。

あの時とは違う「自分」を求めてくれていると信じたいから。



・・・・また貴方は一人で泣くのですか・・・・

・・・・こんなに私が近くにいるのに・・・・

一度は確信した絆が揺らぐ時はこんな時。

求めても求めても指の間から消えていきそうで・・・・。

巽は都筑の頭を抱き込むように目を閉じた。




「おはようございます」

布団の中、潜り込むようにしている身体を揺らす。

「あ、おはよう・・・・」

怠そうに顔を出す都筑に微笑む。

「朝食が出来ましたよ。」

「うん、起きる・・・・」



身体を起こした都筑の髪を撫でる。

「よく眠れましたか?」

「うん、とっても! 巽の側で眠れたから・・・・」


・・・・ああ、貴方はまた・・・・笑うのですね・・・・

花のように、でもどこか淋しげに笑う貴方の笑顔にキスを落とす。

「それは良かった・・・・」

・・・・まだ大丈夫・・・・

それは呪文。

幸せの呪文。

いつか壊れるその時まで・・・・。

2001・11・7
M・Hinase

★巽都シリアスバージョンです。如何でしょう?今月はやっぱりこの路線?(笑)
少しずつ少しずつ壊れていく二人・・・・興味深いです。たまにはこういったものも書きたくなるもんですね。