雨の中の出会い
朝から降り続く雨にびっしょり濡れた公園のベンチ。 背中から伝わる冷たさに体温が奪われていく。 もうどれくらいの時間、ここにいるのか・・・・わからない。 ただ視界に映る灰色の世界に雨を追う。 目を閉じても開いても思い浮かぶのはベッドに横たわる人の姿。 それは自分が消した命・・・・生きようとしていた光。 彼女を愛する人々から引き剥がし・・・葬った命。 この手で・・・この力で・・・・ どれだけ時がながれても 変わらない現実 重ねられる罪 「風邪をひきますよ。」 頬にあたる雨が途切れた。 「こんな所で時間つぶしですか? 都筑さん。」 「・・・・おまえには関係ないよ・・・」 俺は顔も見ずに答える。 「雨の降る日が続きますね。」 ふと傘を傾け空を仰ぎ見る奴に俺は返事もしない。 「隣・・・いいですか?」 「濡れるぞ・・・・」 「かまいませんよ・・・・今更。」 そう言って腰を下ろす。 聞こえるのは地面を打ち付ける雨の音。 誰もいない公園は人の声もない。 「・・・・食事にでも行きませんか?」 しばらくの沈黙の後、呟かれた言葉に首を振る。 「別に・・・食べたくないから・・・・いい。」 「体に毒ですよ・・・・」 「おまえに言われたくないよ・・・・ほっといてくれ!」 その時急に俺は顎を掴まれ奴の方に向けられた。 今日初めて見る顔。 雨の滴に濡れた髪が・・・・綺麗だと思った。 「な、なんだよ。」 「今日は一段と綺麗な瞳の色をしている・・・・またお仕事だったんですか?」 「・・・っ」 俺は手をかけ振り解こうとするがしっかり掴まれた顔は向けられたまま。 「・・・分かってるなら聞くな! この手を離せっ!」 「嫌だと言ったら・・・?」 表情も変えずに手の力だけが強まる。 「は、はなせっ・・・・! うっ・・・ん・・・」 突然寄せられた唇は、とても冷たくて体を震わせるのには充分だった。 逃がさないよう掴まれた腰に回った手が力強く引きよせる。 「やだっ・・・離せ、むらき・・・・!」 押しのけて僅かに離れた口づけの合間にやっと告げることが出来た言葉。 しかしそれさえも再び重ねられ、吸い取られていく・・・・。 「もう、いい加減認めてはいかがです?」 こんなに貴方は私を求めていると・・・苦しさに肩で息をする俺に囁かれる。 「貴方が求めているものを与えられるのは私だけということを・・・・」 その声に目を開くとそこには月の冷たい瞳。 もう幾度、この色を見てきただろう・・・。 ・・・・そんなことは分かっている・・・こんな所で雨に打たれても消えやしない数々の罪・・・・ 俺の中に眠るもう一人の俺。 「邑輝・・・・」 小さく呟くと立ち上がり・・・・身体を委ねる。 「行きましょう。」 濡れた身体は重く、鎖につながれているように感じた。 打ちつけられる衝撃が理性をとばしていく。 求める瞬間。 俺が俺でなくなる瞬間。 この瞬間が欲しくて、いつも・・・・いつも・・・雨の中でおまえを待っている。 冷えた心は、もうおまえしか求めない。 与えられる快感が 奪われる光を上回る。 どうせ堕ちていく身なのだから・・・・。 ・・・・一緒に・・・・邑輝っ・・・・・ 暗い空に輝く月はなかった |
2001・11・6
M・Hinase
| ★こちらも10000HITアンケートのお礼に書いたものです。 邑都バージョンvv でもお礼の割には暗いし、なんかねえ・・・・・というような感じです。 雨と月・・・・私の邑都に多いシチュエーションですね、自覚しています・・・・・(とほほほ)。 もっと別の形が書きたくて今模索しています。 |