微笑み



2001年大晦日。

冬にしては暖かな日射しが降り注ぐ窓を開けて巽は空を見上げる。

クリスマスには雪が舞い、正月も雪になるのでは・・・・と思われたが

どうやら穏やかな年明けを迎えられそうだ。

初詣は何処に行こう・・・・

ふとそんなことを考えていて家の中が妙に静かな事に気付く。

さっきまで何をどうしているのか(あえて感知しなかったが)

ドタン、バタンと音がしていたのに

今は何も聞こえない、彼がいるだろう部屋。

またサボっているに違いない・・・・・

巽は足音を忍ばせて奥の部屋に近づいた。



部屋に入った巽が見たものは

積み上げた布団に背中を預けて

ぽかぽかと暖かな日溜まりに足を投げ出して眠り込んだ都筑の姿。

気持ちよさそうに眠るその様子に巽は思わず微笑んでしまった。



昨夜から泊まり込みで大掃除を手伝わされ

やりたいおせち料理の手伝いはさせてもらえずに

ぶつぶつ文句を言ってはさっきまで、あちらこちらと動き回っていた。

台所に立つ巽の隣に何かと理由をつけては近づき

味見と称しては出来上がった料理に手を出していた。

ようやく一息つき、様子を見に来たら・・・・・。



・・・・まったく、仕方ありませんね・・・・

ふう〜と息をついて巽は側にあったハーフケットを都筑の身体にかけてやる。

楽しい夢を見ているのか、幸せそうに笑う顔を見ていると

あと少しだけ寝かせてやろうとも思う。

結果はどうであれ都筑は都筑なりに頑張っているのは確かだったから・・・・・。

目が覚めたら一緒に出来上がった料理をお重に詰めていこう。

ひとつひとつ新たな年への願いを込めて。


都筑の願うものと

自分の願うものが

同じものであればいいと思う。

それは難しいことかも知れないが、何よりも強い想い。

そして出来ることならば

これからもずっと、こうやって時を刻んでいきたい。


・・・・貴方もそう願ってくれますか?・・・・・



巽は眠る都筑の額にそっと口づけを落とすと静かに部屋を出ていった。

目が覚めたらいつものように柔らかく微笑んでくれるように

そして迷うことなく自分を見つめてくれるように

そう心から願いながら・・・・・。




★いつも来てくださるみなさまに感謝の気持ちを込めて・・・・
2002年もよろしくお願いいたします・・・・・日生 舞