「どひゃあ〜」
思わず小さく呟いた。
その日初めて召喚課の部屋に入った亘理はドアを開けてきた瞬間、ピリピリした空気に肌を刺されるような感覚に襲われた。
「な、なんや〜?」
亘理は部屋を見渡す。
するといかにも不機嫌マックス状態の巽が課長室から出てきた。その途端、職員がびくっとするのが見えた。
益々空気は痛いものとなる。
「あ、そういうこと・・・・」
それならば・・・・・と亘理はそっと回れ右をした。このまま気づかれずに出てしまおう・・・触らぬ神に祟りなし・・・・・。

「ちょっと、亘理さん!」
後少しでドアに手がかかるというところで呼びかけられた。
「はい」
振り向かずに返事をする。
「何か用があるんじゃないんですか。」
「いやあ、別に。ちょっとほら・・・・あ、都筑や坊に挨拶に・・・・・っておらんみたいやし・・・・研究室に戻ろうかなあ〜とか」
「黒崎君は道場に行っています。都筑さんは・・・・今日は休みです」
その言い方に亘理が振り向いた。
そこには相変わらず不機嫌なオーラーを出しまくっている表情のままの巽がいた。
「休み?」
「ええ」
「なんで?」
「ちょっと体の調子が悪そうだったから大事をとらせたんですよ」
「・・・・・へえ」
体の調子ねえ・・・・・まあ、お熱いことで・・・・・でもなんでこんなに不機嫌なんや?
「そりゃあ、お大事に・・・・」
聞きたい事はあるけれど、今のこの状況では身の破滅だ。
「待ちなさい」
「なんやねん。お大事に・・・て言ってるやないか」
「あなたに聞きたい事があります」
「はあ?」
「此処じゃ何ですから・・・・・課長室に来てください」
「お、おい」
「時間が勿体ないでしょう、早く!」
「なんつー言いぐさ・・・・」
言うだけ言ってすたすたと歩いていく巽の後ろ姿に呆れながらも仕方なくその後についていった亘理だった・・・・。





その頃家では・・・・・
「う、うごけない・・・・・お腹空いたのに〜」
「巽のバカー! 怒らないって言ったのに〜」(それは言っていない)
食卓から良い匂いが漂っているのに、そこへ辿り着けない都筑の情けない声が響いていた・・・・・。

★まだ続くのか・・・・?


2003・3・5
M・Hinase