穏やかな時間



ずしっとさっきまでとは違う重さに現実の世界に意識が戻る。

背中にもたれかかった愛しい人は夢の中へと旅だったようだった。

巽は開いていた本を閉じた。



さてどうしたものか・・・・考える。

出来ればこのままにしてあげたいのだけど、いつまでもこのままというのは、色々と厳しいものがある。

軽く息を吐いて・・・・姿勢はそのままに巽は部屋を見渡した。



以前よりかは雑然とした感のある部屋。

1人暮らしから2人の暮らしへ・・・

当然物も増えてくる。

服も、身の回りの物も・・・・その上、この同居人は整理整頓からは遠く離れた所で生活していた人だった。

結局、すべての管理は巽がするようになっていった。

そして小言も倍には増えたかも知れない。

そうやって暮らして3ヶ月・・・・・ようやく2人のリズムが分かってきて・・・。



一緒に暮らすようになると、思った以上に週末は外に出なくなった。

離れている時は、あんなに出かけていたのに・・・。

でも彼はその方がいいのだという。

この限られた空間でお互いが近くに感じられるからと笑って言った。

そしてそう言いながら笑う彼を微笑んで見た。

そうやって穏やかに彼を見ることが出来る自分が、ちょっとだけ嬉しかった。



「ん・・・・・」

身体の収まりが悪いのか、眠ったままで身体を動かす彼の声に巽はそっと、向きを変える。

・・・・そっと・・・・そっと・・・・

少しずつずらして・・・・・どうやら起こさずに抱きかかえることが出来た。

時に幼く見える所がある彼だが、眠っているところはますます幼くなるようで・・・・・。

ぽんと軽く頬を突っついてみる。

やわらかなそれは触り心地がとても良くて。

眠り続けるその寝顔をいつまでも見つめていた・・・・・。



物が増えて・・・・・少しだけ狭くなった部屋。

でも増えたのはそれだけじゃない。

きっと目に見えない、でも感じることが出来るモノが沢山増えたに違いない・・・・。

・・・・この人が運んできてくれたモノ・・・・

それはかけがえのない大切な、そして優しく心を包んでくれるモノだ・・・・・。





これからももっと優しいモノでいっぱいになればいい。

なかなか埋められないお互いの心の大きな空洞を


少しずつ


少しずつ


埋めていきましょう・・・・・

きっと私たちにはそれが出来るはずだから。






そうやって、いつの間にか巽も夢の中へ。

膝にのせたぬくもりが消えないように

そっと

そっと

抱きしめながら・・・・・





★なんとなく書いてみたかった・・・