そっと・・・
| ・・・どうしようかな・・・ ふれる寸前まで人差し指を近づける。 でもすぐにはふれなくて・・・・じっとその寝顔を見つめる。 こんなにじっと見るのって久しぶりだ。 この眠りを妨げそうで・・・ふれることが出来ない。 ふれたくて、ふれたくてたまらないのだけど・・・・。 ぐっすりと眠る巽の寝顔に都筑は自然に頬がゆるむのを止められなかった。 少し前髪が伸びたのかな・・・ このところ忙しくて、巽の顔ちゃんと見てなかったような気がする。 こんな風に眼鏡を外すとホントに美人さんだよね・・・・言わないけど。 言うと怒るんだ。 照れ隠しなのかな・・・俺なんかしょっちゅう言われるよ、別に嬉しくはないけどさ。 でも俺は絶対巽の方が綺麗だと思うんだよね。 都筑はそっと巽の前髪を指に絡める。 ・・・起きちゃうかな・・・ でもどうしても触りたい・・・。 最近忙しくて満足に話も出来なかった。 お互い仕事の追われる中、ようやく迎えた休日の朝だ、大切にしたい・・・。 連休を前にした昨日の夜、『勤労感謝の日』を名目に普段お世話になっている巽を労おうと亘理が言い出した飲み会。それが大義名分だと言うことは百も承知で、その提案に飛びついた都筑は早速召喚課全員に声をかけ、久しぶりの大宴会になった。 ダシにされた巽は最初こそブツブツ言っていたが、やはり多忙な日々にストレスがたまっていたのか、宴が進むにつれてよく飲んで、歌って・・・。 その様子に嬉しくなって都筑もしこたま飲んでしまった。 案の定、解散頃から記憶がなくて・・・・目が覚めたら巽の家だった。 しばらく泊まっていなかったから、巽が連れてきてくれたのはすごく嬉しかったけど、それよりも驚いたのは腕枕。 いつもは、特に酔っぱらった時なんかは絶対同じベッドに寝てくれないのに。 でも・・・・・今はまるで自分を包み込むようにして寝ている巽。 ・・・・まるで色んな事から自分を守ってくれているような優しい抱き方に涙が出そうになった。 嬉しくて嬉しくて、巽よりも早く目が覚めたことに感謝した。 距離が10cmもないところで見る巽はとっても優しくて。 頬はやわらかそうで・・・・。 ・・・やっぱりふれたい・・・ そう思う。 もう一度引っ込めた指を近づける。 この温もりをもっと感じたい・・・それは欲張りだろうか。 「いつまで見てるんですか。」 後少しでふれるという時、巽が目を開けた。 「うわあっ!」 突然の事に都筑が声をあげる。 「お、起きてたの? いつから・・・」 「さっきね・・・。あなたが起きてから間もなくと思いますけど。」 「えー! じゃあ寝たふりしてたの?」 ひどいよお〜と都筑が頬を膨らます。 「目を開けようかなとは思ったんですがね、あなたがゴソゴソしているし・・・流石に私もこのところの忙しさに疲れていたようですし・・・・。」 その言葉に都筑が眉を寄せた。 「やっぱり疲れてるんだね・・・ごめん、昨日そう思ったんだけど・・・巽も途中から楽しそうにしてたから。」 「まったく・・・・私を大義名分にしても飲みたかったんですね〜あの人は。何か知らないけれどまた変なもの作ったようですよ。気をつけなさいね。」 「へ? そうなの?」 都筑は目をぱちくりさせる。 「飲み始めの時言ってたじゃないですか、聞いてなかったんですか?」 「うん、久しぶりのご馳走に目がいっていて・・・・・・でも巽大丈夫? ごめんね、俺泊めてもらって・・・・。」 ・・・しかも一緒のベッドで・・・ 「いいですよ、昨日のは課長の奢りですからね。良い気分転換にはなりましから。それに・・・」 巽は身体を起こして都筑を見下ろした。 「何故謝るんですか? ここにあなたを連れてきたのは私でしょう?」 「だって・・・巽疲れているのに・・・」 見上げた巽の顔にドキドキする・・・・さっきまでの寝顔と違っていて・・・。 その動揺を知られたくなくて、すぐ言葉を繋ぐ。 「疲れてるだろう?」 「ええ。」 「本当にごめん。俺すぐ帰るし・・・」 そう言って起こしかけた肩に手をかけられる。 そのままそっと押された。とさっと、枕に頭が落ちる。 「?」 「帰っちゃうんですか?」 「えっ・・・・だって・・・」 「・・・・今日は何の日ですか?」 「・・・・・・勤労感謝の日・・・・」 何でそんなことを聞くのか分からずに都筑が答える。 にっこり巽が笑った。 「なら私を労ってください。」 「労うって・・・・」 「あなたを抱きしめて・・・・それだけで充分とは思っていたのですが、やはり足りないようです。」 「巽・・・。」 優しく微笑み続ける巽を見つめる。この顔も大好きで・・・・。 ふっと都筑は笑った。 「うん・・・・・いいよ。ちょっとお腹も空いてるけど・・・・。」 少しだけ甘えるように言う。 「後でとびっきりの朝食、作ってあげますよ。」 「約束だよ?」 「勿論。」 だから・・・・・と、巽の顔が近づいてきた。 「あ、待って!」 「?・・・どうしたんです?」 えへへ・・・と笑いながら、都筑は人差し指で巽の頬を突っついた。 軽く、そっと・・・・・。 そのやわらかな感触が嬉しい。 「さっきからね・・・・・ずっとこうしたかったんだ・・・・。」 やっとさわれた・・・・。 大好き、本当に・・・・心の中で呟く。 「変な人ですね。」 笑いながらながら巽が都筑の頬を包み込んだ。 優しく、守るように・・・。 もう言葉はいらない・・・・・。 見つめ合う目が 触れ合う手で 感じる息で そっと・・・・そっと・・・・。 愛しさを込めてそっと・・・・・。 それだけで何もいらない。 美味しい食事をとるのは少しばかり後になりそうな、そんな休日。 |
2002・11・27
M・Hinase
| ★私は頬を突っつくのが好きです。 好きな人は勿論ですが、本当はお友達にもしたいぐらいです。 (しないけど;)・・・。 柔らかい頬を触るのが大好きなのv 自分の願望をそのまんまSSにしてしまった・・・・ごめんなさい; |