ふたりのぬくもり 1
| ・・・・ふぁ・・・・・ うっすらと開いた目に白いレースのカーテンが揺れる。 少しだけ開けた窓にかかったそれは、風が吹くたび静かに揺れる。 覚めきっていない頭でぼんやりと眺めていた都筑は頬にあたるシーツに顔をすり寄せる。 ・・・良い匂い・・・清潔な真っ白いシーツ・・・・このまま、また眠りに落ちていきそうだ。都筑は再び目を瞑った。 遠くで鳥の鳴き声が聞こえる・・・本当に静かだな・・・。 今日は休みだし・・・ゆっくりこうやって一日・・・・こうやって・・・?!・・・え? はっと、都筑は目を開けた。 「ここって・・・・」 さっき見た窓辺を凝視し、そして隣そっと見る。寝た形跡はあるが今は大きめのベッドには自分一人のようだった。 「・・・・・」 目に入ってくる部屋の様子にそこが巽の部屋であることが確実となってくる。 そ、それに・・・・と、都筑は息をのむ。 心地よいシーツの感触を肩にも胸にも・・・身体全体に感じる。 と、ということは!! まさか・・・。 都筑は目を見開いて固まってしまった。 ・・・ちょ、ちょっと待って・・・・! 無理矢理深呼吸をして・・・・頭を整理してみる。自問自答だ。 落ち着け!落ち着くんだ俺! 都筑はもう一度深呼吸をして記憶を手繰り寄せ始めた・・・・。 ・・・まず最初に何故巽の部屋にいるのかってことだよな? 昨日、給料日を前に奢ってもらおうとか言いながら課長室の巽のところに行った事は覚えている・・・・うん。で、その時はあっさり断られて・・・・でも定時を過ぎたところで、あいつが声をかけてきたんだ。そう・・・冷蔵庫の整理がしたいとか何とか言って・・・。それで一緒に帰ったんだよね。 残り物の整理の割にはすごいメニューが並んで・・・その後、酒を飲んだんだ・・・うん、そうだ。巽が別に用意してくれたおつまみがすごく美味しくて、どんどん酒がすすんじゃったんだよね・・・・・。 それから・・・・・あれ? その後どうしたんだ? 何か言いながら巽に抱きついたような・・・何か言われたような・・・・あれ? 都筑はもう一度目を瞑った。 横を向いてそっと自分の肩を抱きしめる。 おそらく・・・・おそらく・・・・何かあったに違いない。 今までも巽の家に泊まることはあったが、いつもソファに寝ていた。酔って何も分からなくなったとしても、目が覚めれば毛布が掛けられていて・・・。 一度とて巽のベッドに寝たことなどなかったのだ。 それに、何と言っても今の自分は裸だ・・・・・これが何よりの証拠じゃないか。 きっと俺は巽と・・・・。 「・・・・」 ふんわりとコーヒーの香りがしてきた。巽が朝食の用意をしているのだろう。 都筑は仰向けになり天井を見つめる。 いつも見つめていた。 いつも願っていた。 ふたりでもう一度歩めたらって。 でも・・・・きっとそれは願ってはいけない、叶うはずのない想いだから。 同僚として友人として傍にいられれば・・・とか諦めの気持ちをいつも持っていた。 そうでないと、また辛い思いをしてしまう。また深く傷ついてしまう。 もうあんな目にあうのは・・・・。 なのに・・・・なのにこんなことになるなんて。それもそのことを覚えていないなんて・・・・。 「最低だ・・・俺。」 都筑は小さく呟いた。天井が涙でにじんだ・・・・。 温めたカップをテーブルに並べる。 巽は溜息と共にまだ閉じたままの寝室のドアを見つめた。 ・・・もう起きているのだろうか・・・ 時計を見上げる、針は10時を示していた。 静かすぎるその部屋。 閉ざされたままのドアを見つめていると昨夜の都筑の言葉が蘇ってくる。 『巽はさあ〜どう思ってるわけ?』 グラスを傾けながらの問い。 『やっぱり嫌い? 馬鹿は嫌いとか言われたよね・・・俺。』 『でもさあ、でも・・・この気持ちどうしたらいいんだろう。』 『ずっとずっとこのままなのかな・・・』 答える巽の言葉も素通りで、一方的に話す都筑の様子に段々巽も黙り込んでしまった。ここのところ仕事が忙しくて、すれ違いばかりだった。 ・・・酔っているのだから・・・ そう思って適当な事を言いながら寝かせようと、都筑の身体を引き上げた時に抱きつかれた。 『巽、巽、巽・・・・』 泣く子のように繰り返し、繰り返し抱きついてくる都筑を突き放せなかった。 自分とほぼ変わらない大きさの身体を受け止めつつも、どうしてこんなに小さく軽く感じるのか、不思議だ。 それは、ずっと見つめてきた、自分なりに見守ってきた愛しい存在だからか。 巽はまだ色々言い続ける都筑の背中を軽く叩いて慰めながら、自分のベッドへと連れて行った。寝かせてまだ首から手を離そうとしない都筑に苦笑しながらも、巽も乗り上げて顔を間近に見つめる。 もう何年も何十年も見つめ、愛してきたその顔をそっと両手で包み込む。 そうすると安心するのか眠り込みながら笑う都筑がおかしい。 「・・・・こんなことしていると、襲いますよ?」 そっと呟く。 「・・・・・いいよ。」 すっと目を開けた都筑が微笑む。 「ずっとこうしたかった・・・・・だから・・・」 「都筑さん・・・・」 少しだ開いた唇が巽を誘うように動く。窓から入ってきた月明かりが都筑の顔を照らす。もう巽を止めるものは何もなかった。 「巽・・・・いいから・・・」 都筑の目を見つめる巽が、片手で眼鏡を外す。 「・・・・・・」 無言のまま巽は都筑の唇に自分のを重ねていった・・・・・。 |
to be continued・・・
2002・9・10
M・Hinase
| ★・・・え?続く?続くの? 申し訳ないです。 一番驚いているのは日生です。 続くのなら「紅葉の舞」じゃん!・・・・ですね。 ごめんなさい。次で終わるから; 書き始めた時は続くと思わなかったのです; 今更ですが・・・・ふたりの初めて・・・・です。 今更だよな、今更・・・・; ここの部屋ですから、裏じゃないし・・・シリアスすぎることもピー・・すぎることもないです、ええ。軽く、軽〜くねv (言い訳だらけですわ;) |