ひまわり




「わたり〜! いる?」
バーンとドアが激しく開いたかと思うと大きな声が部屋中に響く。
実験の後片づけをしていた亘理は突然のことに持っていた試験管を落としそうになる。
「・・・・あのなあ、ここ入る時は静かに入れっていつも言って・・・」
と振り向いた亘理の目に飛び込んできたものは、ひまわりの花束!
ぬっと目の前に差し出され視界が黄色一緒に染まる。
「な、なんや?」
へへっ・・・とひまわりの後から都筑が顔を出した。
「綺麗でしょう? いっぱい咲いたんだよ、今年。おすそわけだよ。」
6、7本が大きなリボンに束ねられている。
おすそ分けにしちゃあ、量がすごい気がするが・・・・と思いつつも、
ここはありがたく礼を言うことにした。
「ああ、ありがとうな。・・・にしてもえらく大きなひまわりやなぁ・・・・。」
「うん。去年たくさん種が取れたからね、それを蒔いたら去年の何倍も増えちゃってさ、花の大きさも大きくなったんだよね。あんまり数が多いから、今みんな配ってんだよ。」はいっと手渡される。
何本もある大きな花束を抱えてしまう形になった亘理は、都筑が自分を眺めてにこにこしているのに気づいた。
「?」
「ん? どうかした?」
「いや、なんかすごく楽しそうだから・・・・・どうかしたんかなっと思って・・・」
「ああ、あのね、やっぱりひまわりって亘理にすごく似合うなって、思ってさ。
庭に咲いたのを見た時から、亘理に似合うだろうなあって思ったら少しでも早く渡したくって・・・・一番に持ってきたんだ。」
というと近くの椅子を引き寄せ、坐りながら満足げに頷く。
「そうかあ? 花って言ったらおまえの方が似合うやろ。ひまわりと俺の共通点なんて黄色ってとこだけやないか・・・。」言いながらひまわりの花びらの部分を突っつく。
「えー?そんなことないよ! ひまわりのような明るさ、やっぱ亘理だよ。いつも前向きでしっかりしてて・・・・・・・俺とは違うよ。」
最後に発せられた声のトーンに、ひまわりを挿しておく容器を探していた亘理は、振り向いて都筑を見つめた。心なしか俯いた顔の表情は前髪に隠れて見えないけど、容易に想像出来る。亘理はふう〜とため息をつくとひまわりを机の上に置いた。

亘理には都筑の側まで来るとひょいっとかがみ込み、頭にそっと手を置いた。
「・・・・つづき・・・自分をそんなに卑下するなって言ったやろ? おまえはおまえや。・・・・俺はそんなおまえが好きやって言ってるやないか・・・・ん?」
頭をなでている手をそっと頬におろして包みこんだ。
「・・・・わかったか?」
「うん・・・・ありがと、亘理・・・・ごめんね。」
恥ずかしそうに笑う都筑を見ていると堪らなくなって頭ごと胸に抱え込む。
「亘理・・・・?」
「そんな顔・・・・誰にも見せたくない。」ギュッと腕に力を込める。
抱え込んだ所からくすくす笑う声が聞こえた。
「・・・・独占欲強いね・・・・」
でも・・・と都筑は亘理の胸をそっと引き離すと首に手を回した。
「俺も強いから・・・・お互い様だね。」
そっと亘理の唇に自分のを重ねると、甘い香りに包まれる。
好き・・・・。


時間が止まったような部屋の中で、無造作に置かれたひまわりだけが
抱き合う二人を見つめていた・・・・。

2001・8・13
M・Hinase

★短いです・・・・なんとなく、ひまわり=亘理と思っただけです。申し訳ない(^_^;)。夏祭り企画第3作目です。