Over The Distance
side−Tsuzuki あれからどれくらいの月日が流れたんだろう・・・ ここから見下ろす海を見ながら 『ごめんね・・・』と伝えた時の彼の瞳の色を思い出す まっすぐに自分を見つめていたようで でも・・・ 何も映っていなかったようにも思える瞳 最後に軽く抱きしめてくれた腕の温かさだけが今でも身体に残っている ある時から感じ始めた違和感 それまで暖かい春の日射しのように 真綿のように包み込まれて過ごしていた 優しく流れる時間に漂って 振り向くといつも柔らかい微笑みが自分を待っていた そう あの男に会うまでは・・・・ 自分の前に突きつけられる現実と 自分の中に眠る闇 聞きたくない! 見たくない! 耳をふさぎ・・・目を閉じても・・・・ 変わらない事実を突きつけられて・・・・ いつも感じていた罪悪感 それに押しつぶされて 流されて・・・・消えてしまおうと思った 俺にとっておまえは光だったから 汚してはならない大切なものだったから こんな俺と一緒に墜ちてはいけない・・・・ 手を伸ばせば きっとおまえはその手を掴むから伸ばせなかった・・・ ごめんね ・・・・本当に好きなんだ・・・・・巽 おかしいよね 別れを告げた時には流れなかった涙が流れる あんなにおまえの前で泣いてばかりいたのに どうしてあの時泣けなかったんだろう・・・・ もう遅いのに・・・・ もう俺は光を捨てたんだね・・・・ 闇に沈む俺に伸ばされた手 『私も血にまみれていますから・・・』 触れたその手はとても冷たくて でもそれは心の何処かで求めていた棘 自分を傷付け血を流し続けるための必要な棘 『貴方と共に墜ちるのは私です』 そう囁かれて・・・・ 俺は全てを託した ねえ 巽 信じてくれるかな 俺いつもこの窓から海を眺めるたびに 心の中で思うことがあるんだ いつか いつかこの身が滅ぶ時が来るのなら その時は 一瞬で良い おまえの腕の中で おまえの瞳を見つめて 消えてしまいたいって・・・・ こんな都合のいいこと考えているんだ 俺 「また海を見ているんですか」 不意に後から抱きしめられる 共に墜ちていく男・・・ 「ああ 海の色が綺麗だったから」 そう言って窓を閉める 海を見つめるのは自分一人でいい 前にまわされた手に手を重ねる・・・・ 「都筑さん・・・」 うなじに落とされる感触に身がすくむ 逃れられない鎖 目を閉じた俺に もう海の色は見えない・・・ |
2001・11・2
M・Hinase
| ★はい、お待たせしました以前UPした巽編と対になる都筑編です。 (誰も待ってないって・・・・) シリアスで貫いてみましたが、如何でしょう? 駆け落ちという雰囲気じゃないでしょう(笑)。邑都ですが・・・・。 巽都で邑都って好きなシチュエーションです、私。 でも難しいのですよねえ〜これって。 11月初っ端がこの作品ということは今月の私はシリアスモード? (と言いながらバカップル書いていたりして・・・・) ここだけの話、連載物「嵐のように」の行き着く先のような気がする・・・・この話。 |