Moonlight



部屋の中が青白い光に包まれている。

自分の身体に廻された腕の重みを感じながら都筑は月を見つめていた。

ベッドに入った時には見えなかったその姿が、今ではちょうど見える位置に来ている。

暗闇に浮かぶ月に都筑はそっと溜息をついた。




「眠れないのですか?」

不意にかけられた声に都筑が身体の向きを変える。

すっぽりと邑輝の腕の中に包まれる格好で向き合った。

「ごめん、起こした?」

「いえ、寝てませんから。」

その言葉に都筑は少しだけ首を傾げた。

「何で・・・・どうして?」

数え切れない程、肌を合わせているけれど邑輝が眠っているところを見たことがなかった。

「貴方と過ごせる大切な時間を眠ってしまうのはもったいないでしょう?」

当然のように言われる言葉に、力が抜ける。

「また、おまえは・・・・・」

ばふっと都筑は枕に顔を落とし、少しだけベッドが揺れた。

「貴方はぐっすり眠ってしまいますけど。」

からかうように言われ、慌てて都筑が言葉をつなぐ。

「そ、それは、おまえが・・・・!」

邑輝と過ごすこの時間は、お世辞にも楽なものではなくて都筑の身体には快感の後の気怠

さが残る。でもそんなことは恥ずかしくて・・・・・。

顔を真っ赤にして黙り込んでしまった都筑を邑輝はそっと抱き寄せる。

「すみません・・・・・わかっていますから。」

火照った頬を邑輝の胸に押しつけながら、都筑が小さく息をついた。

・・・・・言いたい言葉があるのに・・・・・。




夜明けまでどのくらい時間があるのだろう。少しでも長くこの時を感じていたい。

朝が来ればまた別々の時間を過ごす。

それは自分達に定められた運命。



胸に寄せた耳に、普段よりも少しだけ大きく聞こえる邑輝の鼓動が響く。

自分にはない生命の脈動。昔、自分が捨てた・・・・・止めた・・・・音。

都筑は邑輝の身体をギュッと抱きしめた。

「都筑さん・・・・」

どうしたんですか?と問うように邑輝が都筑の背中を包み込んだ。






交わす言葉もないままに再び始まった邑輝の愛撫に都筑は追い上げられる。

「・・・・っああ・・・・はあっ・・・・」

身体の隅々まで邑輝の指が、舌が絡め取るように動き回る。

もう何度も抱いた身体なのに、いつも違う反応を見せる都筑を邑輝は眺める。

「もっと乱れて・・・・美しい貴方を見せてください。」

荒い息を継ぐ都筑を見下ろしながら、髪のはりついた額に口づけを落とす。

「あっ、む・・・・むらきっ、もう・・・・」

限界が近いのか身体を反らせて、都筑が訴えた。

その身体を押さえつけ、邑輝はゆっくりと都筑の中に入り込んでいく。

都筑の求めるものを刻み込むように、ゆっくりと・・・・。

開いた目に映ったのは月の光に映えた汗だった。






優しく髪を梳かれる感触に意識が戻る。

「あ・・・・」

「気がつきましたか。」

髪に触れる指が気持ちいい・・・・いつもより激しい疲労感に都筑は漂う。

「・・・・どのくらい寝てた?」

大切な時間をまた眠ってしまったのが悔しかった。

「1時間ぐらいですよ・・・・・無理をさせましたね。」

「ううん、いい。俺も・・・・・欲しかったから。」

小さな声で答えた都筑に邑輝が口づける。




「邑輝・・・・・約束が欲しい。」

しばしの沈黙の後、都筑が口を開いた。伝えたかった言葉。

「約束?」

「そう・・・・。今度いつ会えるかとか・・・・何をしようとか・・・・・何処で会おうとか。」

「・・・・・・・」

不安なんだ、と都筑は目を瞑った。


許されない想いを抱いているから、いつ消えてもおかしくない関係だから、

確かな証が欲しい・・・・。

共に過ごすことが許されないのならば、せめてもの約束を。

「都筑さん・・・・・」

頬に手をかけ自分の方に向けさせた邑輝が微笑む。

「言葉で交わす約束など、私達には無意味です。」

「邑輝・・・・」

「貴方が会いたいと思えば私達は逢えるのですよ。だって私達はいつも半身を求め続けているでしょう? 貴方と私はふたりでひとつなのですから。」

そうでしょう?と軽く口づけを落とす。

「貴方が消える時は私も消える時・・・・そして私が消える時も。」

貴方が消える時なんですよ・・・・・、邑輝は紫の瞳を見つめる。





百の言葉も千の言葉も必要ない。

こうやって抱き合い求め合うことが唯一の証。

「邑輝・・・・」

誘うように目を閉じた都筑に邑輝は深く想いを伝える。



月の光の中で白いシーツが大きく波をうった・・・・・・。

2001・12・8
M・Hinase

★14500番のリクエスト作品です。
リクエスト内容は「アダルティーな邑都」でしたが、・・・・・どうでしょう?(ドキドキ・・・・)
なんか甘いのかシリアスなのか、わからんお話になってしまったようです(^_^;)。
とにかくふたりでやって・・・・(ゴホッ)・・・・だけのSSのような気が。
ああ切ない感じが伝わればいいのですが・・・・・(汗)。
いつもながら、へたれで申し訳ないです。

しかし、そのままあんたたちはまた・・・・・すごい体力だ・・・・。