| 心の色 side-Tsuzuki 秋も深まりすっかり空が高くなった。 召還課の休憩室の窓から空を見上げる。 ・・・・もう随分地上に行ってないなあ・・・・ このところ地上での仕事もなくデスクワークが続いていた。 相変わらず要領の悪さから驚くほどに滞っている書類書きに追われている。 巽や密にどやされる毎日だけど、 それはそれで平和な日々だとは思う。 たった一つのことを除いては・・・・・。 『じゃあ、今週も会えませんね。』 『うん・・・・ごめん・・・・』 小さくなる声。 『謝ることはありませんよ。お仕事なのですから。』 『そうなんだけど・・・・』 『今度お会いする時が楽しみですね、自分を抑えることが出来なくなりそうですよ。』 さらりと、そのことを匂わされて都筑は真っ赤になる。 受話器の向こうで笑う気配がする。 『な、何言ってるんだよ! もう、切るから!』 『ええ、おやすみなさい・・・・・』 『おやすみ・・・・・』 いつもの挨拶。 でも・・・・・ 切れない通話・・・・・つながっている回線・・・ 『邑輝』と言いそうになって 慌てて電話を切った。 目を瞑って一昨日の電話を思い出す。 会いたくて、会いたくて、会いたくて・・・・ 声を聞くとたまらなくて。 あのまま切らなければ、きっといつまでも受話器を握りしめて そしてきっと・・・・泣いていた。 耳元で囁かれる声は近いのに この身を包み込んでくれる腕は遠い。 氷のように冷たい瞳で見つめられながらも 激しすぎるほどの情熱をぶつけてくるあの男にしか、自分はもう安らぎを見出せない。 ・・・・会いたい・・・・ 今はそれだけだ。 雲を見つめ眼を細める。 深い深い闇を持つ自分の心が求める唯一のもの。 それはきっとあの男の中に同じものを見ているから。 顔が見られない日が続くと ふと気付けば、ぼんやりと邑輝のことを考えてしまう自分がいる。 邑輝が同じように自分を思い出すことがあるのかどうかは分からない。 会えないことの淋しさを感じているのかさえも・・・・・。 与えられる言葉は自分を求めていても その心までは掴めない・・・・・ 目の前の木の枝から鳥が飛び立つ。 その音にはっと気付いて、嗤った。 首を振りそんな考えを追い出す。 それはもう覚悟していたはずだった。 邑輝がどう思っていても、自分が求める気持ちは変わらない。 もう変えられない。 変えるつもりもないのだから・・・・。 今夜は俺から電話をしてみよう。 枝から落ちる枯れ葉を目で追いながら考えた。 そして 今夜は自分からは切らない。 自分の心はもう、染まってるのだから・・・・・。 「会いたいよ・・・・邑輝・・・・」 小さく小さく呟いた。 side-Muraki |
2001・11・12
M・Hinase
| ★10000キリ番リクエストでございます。 リクエスト内容は『遠く離れて想い合う二人・・・・日記や手紙の形式で』ということだったのですが・・・・ああ、中途半端に電話という小道具で書いてしまったのです。ごめんなさい(T_T)。都筑が手紙を書きそうになかったものだから・・・・つい。 リクエスト希望通りにうちのサイトとしてはかなり甘い邑輝になっていると思います。今までで一番甘いかもしれない・・・・・。 気にいっていただけるか、どうか・・・・(不安です)。 邑輝編もUPしておりますのでそちらもどうぞvv |