「ほら! 何ぐずぐずしているんですか! こっちのは片づいたんですか?」

どんと、目の前に置かれた書類に都筑は目が潤んできた。

「無理だよ、こんなに出来ないって!」

「どの口が言うんですか、どの口が!」

すっと伸びてきた指に頬を摘まれる。

「痛い! 痛いってば!」

ワタワタと手足を動かす様を向かいの密が煩そうに見ている。

「密! 助けて!」

「やだ」

「酷いよ!」

同情の欠片もなく一言のもとに切り捨てられた都筑は身を乗り出して密に文句を言う。

「パートナーじゃん!!」

「・・・・・俺の分はとうに終わってる」

「でも! こういうとき助け合うのが、パートナーっていうもんじゃ・・・・あたっ!」

今度はファイルの束が頭に落ちてきた。

「巽ぃ〜」

「アンタ何年、此処にいるんですか? えええ? 黒崎君は短い間にいろんな事を習得しているというのに・・・・」

「だって・・・」

「だってじゃないでしょう!!」

「う・・・・・」

「唸っても駄目です! いいですね、せめてこれが半分になるくらい片づけなさい。そうしないと残業ですよ」

机の上に積み上げた書類の山を巽が指す。

「ちょ、ちょっと無理だよ!! これは無理! 絶対無理!!」

「全部と言われなかっただけでもありがたく思いなさい!!」

「・・・・・・・・」

「そんな目で見つめても駄目ですからね」

「巽の馬鹿、ケチ、いばりんぼ」

「ほほう〜誰に向かって言ってるんでんすか! ええ??」

「まあまあ、今日はイブやで。そんなにかっかせんと・・・なあ、坊」

「・・・・・俺に振らないください」

巽はひょっこりと顔を出して来た亘理を睨み付けた。

「良いところに来ました、あなたにもあるんですよ、書類書き」

「げっ!」

「亘理、仲間じゃん!!」

少しでも苦しみは分かち合う方が良い。

「アホ、おまえと一緒にすな! 巽? 俺、今日は忙しいねん・・・ほらイブやし?」

「そんな理由は彼女でも作ってから言ってください」

「なんでおらんて決めこむんや!」

「いたら大笑いだからです」

「おまえなあ」

「まあまあ、仲良くやろうよ〜イブなんだし」

「おまえが一番の原因なんだ」

ずっとやりとりを聞いていた密が都筑を見て言った。

「なんで!」

「なんで?」

巽と密が同時に声を出す。

「・・・・・わかりました、都筑さん・・・・貴方にはじっくり話をする必要がありそうですね」

「へっ?」

「わああ、都筑可哀想〜」

面白そうにそれを聞いていた亘理が言うと

「あなたには黒崎君を監督つけましょう!」

「ええええ!!」

今度声をあげたのはふたり

「俺聞いてないです!」

ゆっくりこれから図書館でも行こうと思っていた密は抗議する。

「俺のは少しの遅れやないか!」

「今決めましたから・・・なんなら正月休みを使って貰っても構いませんが?」

わあわあ叫ぶ者達を見回して・・・ニッコリと巽は微笑んだ


途端、静かになる・・・・・

元旦か2日までしかない休み・・・それがなくなるのは・・・・嫌だ



「では、よろしくお願いします」

そう言い残して、すたすたと歩いていってしまう



「はああ、どうしよう〜こんなに出来ないよ;;」

書類の上に突っ伏した都筑に亘理が手を置いた。

「おまえは・・・それでもきっと解放される・・・・・問題は俺らや・・・・」

あまりの展開に呆然とする密を含めて3人は深い深い溜息をついた・・・・。