Santa Claus



ジングルベ〜ル♪ジングルベ〜ル♪・・・・

軽やかなメロディーがリビングから聞こえてくる。

ラジオ番組のクリスマスソングに重なるように流れるもう一つの声に

巽は笑みをこぼす。



今日は22日、金曜日。

年末で詰まっていた仕事も何とかメドがつき明日は休みが取れた。

これで24日のイブまではゆっくりと時間を過ごすことが出来る。

お祭り騒ぎのクリスマスは、正直なところあまり好みではないが

このおかげで都筑との時間が出来るのなら

それもいいか、と思ってしまう自分がいるのも事実。

巽は用意したケーキを切り分けた。





「都筑さん、お茶がはいりましたよ。」

巽はテーブルに皿を置きながら、ツリーの前に立っている都筑に声をかける。

一年に一度の大きなイベントに気合いを入れて飾り付けたツリーが都筑のお気に入りだ。

「わっ、ケーキだ!」

尻尾があればきっと振っているだろうと思われるほどの上機嫌で都筑がちょこんと座る。

お皿に切り分けられたケーキは真っ白な生クリームに真っ赤なイチゴの定番のケーキ。

「巽の手作りだよね!?」

「勿論です。」

いただきまーす、と声を上げケーキを口に入れようとして、都筑の動作が止まる。

「どうかしましたか?」

「今日まだ22日だよね・・・・これ食べちゃったらイブの日が・・・・」

情けない目をしてケーキをながめている都筑に呆れてしまう。

「・・・・何を言い出すのかと思ったら・・・・・。大丈夫ですよ、イブの日はまた別のを作りますから。」

「え!? 本当?」

「ええ、だから安心して食べてくださいね。」

うん、と大きく頷いてケーキを頬張る様子を微笑んで見つめた。

美味しく食べる都筑の様子はいつ見ても巽の心をなごませる。






何週間も前から飾り付けられた大きめのクリスマスツリーはリビングの一角を占領し、

どうせ飾るなら・・・・と巽が特別に色んなオーナメントを買ってくれたので、

そしてそれをひとつ残らず都筑が飾ったので、それはそれは豪華なものとなっていた。



「クリスマスだね・・・・」

ソファを背に床に座り込んだ巽に後から抱きかかえられるようにして座った都筑は小さく呟く。

「何です?今更。」

「んー? だってツリーと・・・美味しいケーキと・・・温かい部屋と、ポインセチアと・・・・」

そう言いながら、都筑は窓辺に飾ったポインセチアを見た。

「綺麗に育ちましたね・・・・本当に花を育てることだけは得意なんですね。」

「だけ、って余計だろう!」

「本当のことでしょう?」

顔を見上げると、少し意地悪そうな顔が見下ろしている。

でも、その瞳が優しい色に包まれているのも知っている。

「もう!巽ったら・・・・。ポインセチアはねえ、クリスマスフラワーとも呼ばれているんだよ。だから絶対この時期に一番綺麗な状態にしたくて・・・・。ちょっと頑張っちゃった。」

えへへ、俺からのプレゼント、と前に廻された巽の腕を抱え込む。

「・・・・・大切にさせていただきます。」

巽は腕の中のぬくもりを包み込むように、そっとその唇に触れた。





「・・・・・後はサンタクロースですか。」

「なに・・・・?」

ようやく解放された口から都筑が問う。息がまだ荒い。

「サンタクロース。後足りないものと言えば、それぐらいですかね・・・・と。」

うん・・・・そう答えた都筑は巽の胸に頬をすり寄せた。

「サンタはいるから、いいや。」

「?」

「サンタはね・・・・」

都筑は巽の首に手を廻す。

「俺の側にいつもいてくれるから・・・・・・」

「都筑さん・・・・」

「巽がいつも俺のサンタさん。だからもう充分だよ・・・・足りないものは何もないよ。」

そして今度は自分から巽にキスをする。

軽く触れるようなキスに思わず巽は都筑を抱きしめた。






窓の外は雪・・・・

きっと今年はホワイトクリスマス。

窓辺に置かれたポインセチアが降り積もる雪を見ていた。

ふたりの甘い甘いクリスマスは今始まったばかり・・・・・。



MERRY CHRISTMAS・・・・・・

2001・12・15
M・Hinase




★3作目は巽都v
私が普段書くことの多い巽都から「切なさ」と「ダーク」を取り除くとこうなる・・・・というSSです(笑)。
さてどうでしょう?
甘やかし巽!2種類も作るんですか?ケーキを!
後足らないのは靴下だよ!都筑さん。
甘いだけの巽都・・・・これにいつものメンバーが加われば、バカップルとしてもっと突っ込めるのですが、2人だけだと・・・・・(苦笑)。
巽都は切ない系も書くつもりではいます。