| Illuminations 街路樹に惜しみなく施された電飾は木々に降り積もった光の雪のようで・・・・ 道路を流れるヘッドライトは光の河のようで・・・・ 眼下に溢れる光の洪水に都筑は目を細めた。 その光の中を幸せそうなカップルが腕を組んで歩いたり、 待ち合わせをしていたり、そのひとつひとつに素敵なストーリーが あるようで微笑ましくなる。 以前は苦手だったこの季節。 街中が光に包まれて、人々が幸せに包まれて そんな中を歩くのは淋しかった。 自分の心に気付かないように過ごしていても 耳から入る音楽に、目からはいる色彩に 『自分は一人だ・・・・』と思い知らされて・・・・。 だからクリスマスはいつも無理にでも盛り上がって、 騒いで・・・・・お酒に逃げて・・・・眠った。 だけど・・・・・ いつからだろう・・・・・優しい気持ちで迎えられるようになった。 この日を指折り数える自分がいた。 普段はなかなか逢えない人と過ごせる大切な時間。 自分だけを見つめてくれる瞳と 自分だけを包んでくれる腕を見つけた。 それはいつか消えてしまうかも知れないけれど 今は・・・・・幸せだ・・・・そう思える。 「都筑さん。」 街並みを見渡せる歩道橋の上で光の波を見ていた都筑はその声に振り返った。 「あ、邑輝。」 自分を見て嬉しそうに笑う都筑に、ふっと溜息をついて近づく。 「何故こんな所にいるんです? 待ち合わせは喫茶店だったはずでしょう?」 「あ、ごめん・・・・探した?」 「いえ、店に入ろうとした時に貴方を感じたので真っ直ぐここに。」 そう・・・・と答えながら臆面もなく答える邑輝の言葉に顔が熱くなるのを感じる。 「こんなに冷えて・・・」 都筑の頬を邑輝の手が包み込んだ。 「それで、どうしてこんな所にいたんです?」 頬にあてられた邑輝の手に都筑は自分の手を重ねる。 「光を見たかったんだ・・・・」 「光・・・・ですか。」 「溢れるほどの光に包まれるこの時期が昔は嫌いだったから。」 目を瞑りゆっくりと話す都筑を邑輝は見つめた。 「みんな笑って・・・・愛しい大切な人と過ごしているクリスマスが辛かった。」 でも・・・・と都筑は言葉を繋ぐ。 「今は自分もその幸せを掴めたようで嬉しいんだ。光の中に入れたようで・・・・」 邑輝はそっと肩を引き寄せた。 「幸せだと思ってくれるのですか、貴方は・・・・こんな関係でも?」 「ん・・・・幸せだよ、俺は。いつもお前は俺だけを見ていてくれるから・・・・そうだろう?」 「勿論です。貴方以外は誰も必要ないのですから。」 そう誰もいらない・・・・。 背中に廻される都筑の腕を感じながら邑輝は答えた。 「うん。」 笑い声と軽やかな足音が背中を通り過ぎていく。 二人してこんな目立つ所で何をしているのか・・・・邑輝はふっと笑った。 隣の都筑に目をやると眼下の光を見つめている。 その横顔は幸せそうに微笑んでいた。 ・・・・・こんな光の中にいると、まるで天使のようですね・・・・ 自分だけに舞い降りた優しい天使。 こんな綺麗な存在を己の手によって傷つけ穢すことになるかもしれない。 それはそう遠くない未来。 それでも・・・・ 自分は都筑を手放せない・・・もう歯車は回り始めたから。 全ては始まったのだから。 「ねえ、邑輝。」 「なんです?」 「俺・・・・お腹空いちゃたんだけど。」 天使のあまりにも現実的なセリフに一瞬言葉を失う。 そしてくすくすと笑った。 「な、なんだよお。美味しいレストランに連れて行ってくれるって言ったじゃんか。」 「ああ、そうですね。もうすぐ予約の時間ですね。」 行きましょうか・・・・と都筑の腰に手を廻し歩き出す。 「何、笑ってるんだよ!」 まだくすくすと笑い続ける邑輝に都筑は抗議の声を上げる。 「いえ、あまりにも可愛い天使だったもので。」 「はあ?」 天使? ・・・・尚もにこにことしている邑輝を見ながら都筑は首を傾げた。 でもこんなに楽しそうにしている邑輝なんてそう見られないし、 そうさせているのがおそらく自分であることも嬉しかったから もうそれ以上は都筑も何も言わなかった。 今はこの幸せな時間をゆっくり噛みしめていたい・・・・ただそれだけ。 ギュッとコートを掴んだ手を邑輝が握りしめる。 それだけで充分だった。 手から伝わってくる想いと伝わる想いがひとつになれればそれでいい。 華やぐ街の光がふたりを包み込んでいく。 HAPPY CHRISTMAS 幸せの天使が舞い降りますように・・・・・。 |
2001・12・13
M・Hinase
| ★第2弾は邑都です。 クリスマスということで、「甘い邑都はいかがですか〜」と声を張り上げておりますv ちょっぴり切ないスパイスも隠し味程度に振りまいてみましたが効果無しでしょうか?(苦笑) 本当はもっと盛り込みたいセリフとか沢山あったんですよ(T_T)。 でもでも出来ませんでした。 悔しいので他のシチュエーションで再挑戦しますねvv |