ときめき



目の前に広がる色に言葉をなくす

テーブルの端から端まで並べられたお皿には

ありとあらゆる料理が盛られていて・・・

それら全てがニッコリと微笑んで自分を見ているようだ



あの赤いソースはなんだろう?

この小さな粒々はもしかしてキャビア?

わあ・・・・テレビでしか見たことがないよ

この何とも言えない鮮やかな色を見せているのはサーモン?

こんなに大きなのは初めて見た!

それにそれにあのステーキの肉の厚さは一体・・・・

何グラムあるのかな

肉自体何日ぶりだろう

ああ目移りしてたまんない!

どれから手をつけて良いのかわからない!



「あの・・・・・都筑さん?」

話を中断して話しかけてみた

目の前の男は運ばれてくる料理に目をキラキラさせている

「・・・・都筑さん?」

少しだけ声を大きくしてみた

これでも届かないらしい・・・

それどころかカタッと静かに皿を置く榊と目があった

意味もなく咳払いをしたりする

「都筑さん!」

マナー上問題はあるが大きな声を出すと

ようやく都筑がこちらを見た

「え?」

「・・・・・」

食堂に入って初めて都筑の目を見たような気がする

「・・・私の話・・・聞いてましたか?」

「え? 話?」

きょとん・・・・とした顔で首を傾げる

「・・・・・いえ、いいんです」

どうぞ召し上がってください・・・

諦めたように続けられた言葉に

「うん!」

元気よくフォークとナイフを手にとった


見事に・・・

昨晩寝ずに考えた口説き文句は宙を回ったようだ



・・・仕方ありませんね・・・



なかなか前へと進めない関係は時にもどかしい

でも

こんな楽しそうな彼を見るのも悪くはない


小さく溜息をつきながら邑輝もワインが注がれたグラスに手を伸ばした




また今夜も楽しい食事会が始まる




2003・10・27
M・Hinase


☆ドクター・・・(涙)