「何やってんのよ! 馬鹿!」

パシッといい音がして 思わず都筑は目を瞑った

「何すんだよ!」

と今度は男が腕を振り上げる

でも結局女を殴ることが出来ず・・・




・・・喧嘩か・・・




ぼんやり考える

クッションを抱えながら ドラマを見て都筑は溜息をついた



此処で暮らし始めてまだ数ヶ月

それなりに上手くやっているとは思ってきた

でも最近ちょっと気になることがある

それは・・・・・




急に後ろから腕が回されてきて抱きすくめられた

「ただいま帰りましたよ」

同時にふわっと香水が漂う

「おかえり・・・」

「おや? 不機嫌ですね・・・何かありましたか?」

「・・・・香水」

都筑に言われてすっと香りを嗅ぐ仕草をする

「・・・香水って・・・いつもつけているでしょう?」

「お前のじゃないのが・・・」

微かにだが いつもと違う香りが混ざっている

「学会に出たんじゃなかったのか」

朝出かける時に言った時間より1時間も遅い

「行ってきましたよ?」

涼しげな答えが返ってきた


・・・どうだか・・・と心の中で呟いた


ぷいっと怒ったように横を向く都筑に 邑輝は少しだけ微笑む

「都筑さん・・・学会には女性もいるでしょう?」

腕の力を少しだけ強めると逃れるように都筑が身を動かす

「昔なじみにあって少し話をした時にでも、香りがついたのでしょう」

「・・・・・」

「ヤキモチ・・・ですか?」

「・・・・・」

「都筑さん・・・?」

目の前にある耳朶を舐めるとぴくっと身体が反応する

それが楽しくて再びそれを口の中に含んだ

「や・・・やめろって!!」

都筑は邑輝の身体を押し返そうと思うのだがソファの背を挟んでいるため上手く出来ない

「邑輝!」

やめろ!と言いながら徐々にからだが反応していくのが悲しい


いつもこうだ

喧嘩の元をいつも持って帰ってくる

でもそれは追求出来ないまま・・・些細なこととして通り過ぎていくだけで・・・


「ちょっと・・・邑輝!!」

耳を嬲られて喘ぐなんてそんなことイヤだ!

気付くといつのまにかはずされたパジャマの合わせから手が入れられて・・・


「やめろって言ってる!やっ・・・」

文句を言うために上げた顔をとられて口を塞がれた

激しい行為に流される

・・・こうなったらおしまい・・・



与えられた熱さに負けてしまう

いつも・・・

いつも・・・




都筑は諦めたように力を抜いた












そろそろ他のバージョン、でしょうか・・・・

疲れ果てて深い眠りへと落ちた都筑の髪に触りながら

邑輝は脇に置いたスーツのポケットに手を伸ばした

小さな小さな瓶を取り出す

今のシチュエーションも面白いが余り続けていては都筑の不信感も買ってしまう

「さて・・・」

次は何にしましょうか・・・?



くるくると変わる表情が面白くて

ついつい遊んでしまう

そっと頬を突っつくと

「・・・・バカ・・・・」

都筑の寝言が聞こえた




「でも退屈しないでしょう・・・・?」

邑輝はにっこり笑って月に照らされた都筑の頬に口づけをおとした


明日をお楽しみに・・・・


邑輝はそっと都筑の肩を引き寄せて目を閉じた



2003・11・12
M・Hinase


☆ドクター? そういうのはちょっと・・・