心理テスト
「じゃあ、始めるよ!」
「ちょっと、都筑さん! 私は何もやるとは・・・」
「えっと・・・・『言いたいことが言えない?』・・・これは『いいえ』だね!」
自分で淹れた珈琲を飲みながら雑誌に書き込んでいる
何処から仕入れてきたのか雑誌を片手に都筑が巽の元を訪れたのは終業近く
「心理テストが載っててさ!」
と嬉しそうに言い、自分にやれと言う
忙しいから・・・と追っ払っても 自分が答えてあげるから!と言ってソファに座り込んでしまった
「巽になったつもりで答えるから大丈夫v」
・・・何が大丈夫なのかまったく訳が分からない・・・
人の言うことも聞かずに始めてしまった・・・
「『上手に嘘が付ける?』これは『はい』だね!」
「なに人聞きの悪いこと言ってるんですか!!」
「次・・・『思いやりの気持ちが強い?』・・・・う〜ん・・・」
「・・・・・何悩んでるんです!!」
「だって時と場合で随分態度が違うもん・・・『どちらでもない』っと」
「都筑さん!」
「それから・・・『他人の尻をたたく?』あ、これは『はい』だ」
「・・・・」
・・・・好きでしているんじゃないですよ!・・・・
「『頑固で融通が利かない?』・・・・はは、これもだね」
「都筑さん・・・」
一体 人を何と思っているのか
「『人に対して寛大で穏和である?』・・・・・」
都筑は黙って鉛筆だけを動かす
「ちょっと、どっちに○を付けたんですか!」
「『奉仕活動に喜んで参加する?』・・・・これは『いいえ』」
・・・悪かったですね・・・
「あ、『挫折感にとらわれることが多い?』って・・・」
都筑が顔を上げて巽を見た。
「・・・なんです?」
「・・・・『はい』だよね」
「え!?」
少しだけ都筑の目に哀れみの色が浮かんだような気がする
冗談じゃない!
「『涙もろい?』ああ・・・・これもねえ〜」
「都筑さん! 黙って聞いていれば! 全然私のテストじゃないでしょう! 涙もろくなんかないですよ、私は!」
「えー? 最近ドキュメンタリーとか見たらさ、こっそり眼鏡はずしてるじゃん! 俺知ってるもんね」
「くっ・・・」
「『子供や部下に厳しい?』もうこれは◎だ!」
「・・・・・・」
そうやって50問あるという質問は続いていく
もうこれは巽のテストではない
都筑がどう巽を見ているかのテストのようだ
その大半は自分の答えとして納得のいかないものであった
巽は喜々として書き込んでいる都筑を見て溜息をつく
「あ、最後だよ? えっと何々・・・・・・うわぁ」
質問文を見て都筑が黙り込む。
「・・・・今度は何です」
「・・・・『後悔の念にとらわれることが多い?』って・・・・」
あちゃーという表情で都筑が顔を上げた
「・・・・何でそんな表情をするんです・・・」
「う〜ん・・・よく分からないけれど・・・・・『はい』でいいや!」
「いいやって・・・そんないい加減な! そもそも分からないなら答えないでください!」
「で、結果は・・・・」
バサバサと頁をめくりながら 答えの『はい』と『いいえ』の数を数えていく・・・
「あ、これだ・・・・・」
どうやら巽に知らせるより先に自分が読む気らしい
「・・・・・・」
馬鹿馬鹿しいと思いながらも
熱心に読んでいる都筑が気になって何となく見守ってしまう
やがて・・・読み終わった都筑が立ち上がった
「都筑さん・・・?」
「ごめんね、仕事の邪魔しちゃった」
「はい?」
「俺 先帰っているから」
「ちょっと、都筑さん!? どうしたんです? 結果は??」
「いや・・・大したことないからさ、読まなくてもいいんじゃないかなあ」
そう言う都筑の僅かに顔に同情の感がにじみ出ているようで・・・
・・・・何て書いてあったんですか!・・・
巽は途端に心配になる
あんなにバカにしていたモノでも結果は知りたいではないか。
「じゃ!」
と軽く手を挙げて部屋を出て行く都筑を呼び止めた
「都筑さん! 待ちなさい! その本見せてください!」
「巽は読まない方が良いって!」
苦笑しながら答える
「お疲れ〜」
そう言い残すと足早にドアの外へと・・・
「余計気になるじゃないですか!! 待ちなさい!!」
巽も急いで後を追う
バタバタ・・・・と走り出した音と、その後を追いかけるように走っていく音が重なって遠くなっていった
残された書きかけの書類が 風に舞って・・・・落ちた
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2003・11・13
M・Hinase
☆結果はご想像してください・・・・v