甘いもの
ああ、どうしよう。 いくら我慢しても顔が緩んでくる。 クリスマスも楽しかったし、ボーナスもちょっぴりだけど出た。 年末はとっても楽しいことばかり。 周りの人は忙しいだの、時間がないだの、大変そうだけど俺はそうでもない。 今日も朝からみんなバタバタしている。 そんな様子を見ながらお茶をすすっていたら 横から凄い目で睨むんだよ、密が。 無言でこれをやられるのが一番怖いんだよね。 分かった、分かりました! 俺は仕方なくペンを取って山積みになった書類を手に取る。 でもでも やっぱり目の前の小さなカレンダーの日付にいくんだ。 大きな花丸をつけた日。 クリスマスよりもお正月よりも、もっともっと大事な日。 大切な人の生まれた日。 バシーン!っと大きな音が部屋中に響き渡った。 「いったー!!」 都筑が頭を抱え込んで机の上に突っ伏した。 さすがの音に隣の密も固まる。部屋中の話し声も物音も一瞬止まった。 「都筑さん!アンタなに、ボケボケしてるんです!」 「痛いよ!巽!」 「そりゃそうでしょう、痛いように叩きましたから。」 「ひどいよ、ちゃんとやってんじゃん!」 これっ、と都筑は机の上の書類と自分の持っているペンで机の上の書類を突っついた。 えらそうに口を尖らせる都筑を巽は鼻で笑った。 「ほお、これがやっていると・・・・これが!」 バーンと置かれた手の風圧で真っ白い紙が舞う。 巽はその紙を空中で受け取ると都筑の前に突き出した。 「私は視力が落ちたんでしょうか? 一字たりとも見えないのですが・・・・貴方には読めるんでしょうね〜。え?どうです? 見えるなら声に出して読んでご覧なさい!」 「そ、そんなあ〜!」 「さあ、早く!」 都筑は見る見るうちに目に涙を溜めて巽を見上げる。 「泣いてもダメですよ!朝から一体なんですか、アンタは! 遅刻すれすれで入ってきたかと思えば、机に座ってもへらへらして、立ち上がったかと思えばお茶を汲みに行って、今度こそはやり始めるのかと思えば机の中を開け閉めしてはまた笑って・・・・」 ・・・・・・よう見とるやないか・・・・・ 怒鳴り散らす巽の声を背中で聞きながら亘理は小さく首を振る。 『今が一年で一番忙しいんですよ!』とか 『毎日午前様ですよ!』とか 『この時期はなかなか目が届かないことが多くなりますからいらない仕事は増やさないでくださいね!』とか さんざん周りに当たり散らしながらも、そのチェックは何や?と問いたい。 それも凄く限られた人物のみの。 今日も自分は超多忙を極めているのに、それだけは怠らないようだ。 ・・・・・ま、いつものことやけど・・・・・ どうせ都筑が机の中にしまっている物にも気付いているのだろう。 今日は27日だ。 毎年行われるあの2人のいくつかのイベントの中でも今日は重要な部類にはいるらしい。 そんな日だからある程度の事は覚悟が出来てはいるが、説教から始まったやりとりに正直もう過食気味だ。 それでなくても今月はクリスマスがあって、 さんざん”もう結構です!”というような場面を見せつけられている訳で・・・・・。 と、巽の文句が止まった。 そっと振り向くと、本格的に泣き出した都筑にちょっとおろおろしているだろうと思われる巽の後ろ姿。 ・・・・どうにかしてや、ほんまに・・・・・ 亘理は天井を仰いだ。 「都筑さん・・・・」 「ひ、ひどいよ・・・・・たつ・・・・み〜」 「だって貴方が・・・・」 「今日は大切な日じゃないかあ〜だ、だから俺・・・・」 密が静かに席を立つ。 それを合図に他の職員もわたわたと部屋を出ていく。 クリスマスから2日しかたっていないのに、またもやこんな光景を見せられたのではたまらない、みんな2人の方を見ないようにして足早に通り過ぎていった。 今日はおそらく大忙しの秘書さんは定時で帰るのだろう。 その時には山のような仕事を抱えていて、本来ならば残業間違い無しの平職員さんを1名連れていることだろう。 ・・・・甘いなあ・・・・・ 容易に想像できるこれからの展開に亘理は2人と自分以外誰もいなくなった召還課の部屋で脇に置いてあった菓子を一口かじった。 今、此処を離れないことが唯一の嫌がらせのような気がする。 背中に時々感じる視線を受け止めながら亘理はペンを動かしていた。 お誕生日おめでとさん! |
2001・12・27
M・Hinase
★召還課ドタバタ風お誕生日SSです。
これ文章的には失敗です。
だって都筑で始まった視点が亘理の視点に変わって、
そこで終わってしまったので。
本当は公開する価値のない文とは思いますが、せっかく書いたので読み流す程度で・・・・
いつものバカップルの様子が伝わると嬉しいです。