見えるもの 見えないもの





「もうすぐ誕生日だね。」

ぼんやりとカレンダーを眺めていた都筑が振り向く。

「そうですね。」

PCに向かいながら巽が返事をする。

「何か欲しいもの、ある?」

そう聞きながら都筑は巽の座っている椅子に身体を寄せてきた。

「そうですね・・・・・」

キーボードを叩く指を止めて都筑の顔を見上げる。

「貴方が。」

その言葉に都筑が一瞬、目を大きく見開いてそして笑った。

「もう、巽ったら。冗談じゃなくて・・・・」

「冗談を言っているつもりはないですよ。」

真っ直ぐに見つめる蒼い瞳が都筑を見つめる。

「俺は、巽のものじゃん。もうずっと前から・・・・。」

巽の髪をサラッと指で梳く。

「そうですか?」

「そうだよ、ひどいなあ巽。」

くすっと笑って巽の額にキスをした。



巽は髪を梳く手を掴まえる。

「巽?」

「貴方が私のものと言うのなら・・・・」

そう言いながら巽が都筑の腕時計に手をかける。

「や、やめてよ、何するんだ!」

巽の突然の行動に都筑は慌てて、自由になる片手で腕時計を握り込んだ。

その様子に巽は溜息をつく。

「私が欲しいというのはこういう事ですよ・・・・」

右手を掴まれながら都筑は抱き寄せられる。

「いつになったら貴方は・・・・」

溜息混じりの問いに答えられず都筑は顔を背けた。

「今は・・・・まだ・・・・ダメだ。」

時計を握り込んだ左手は離さないまま巽の胸に顔を寄せた。

「ごめん・・・・ダメなんだ・・・・」

震えだした肩をそっと抱きしめながら、巽は雪の舞い始めた空を窓越しに見る。




・・・・あの男には見せたのでしょう?・・・・

・・・・どうして私ではダメなんです・・・・・

心の中で繰り返す言葉。

でもそれはきっと口に出さなくても聞こえているはず・・・・貴方には。

無言ですり寄せてくる都筑の頭をそっと抱きしめて、髪に口づけをおとす。




出来ることならば閉じこめて、

誰の目にも触れぬよう・・・自分だけのものにしてしまいたい。

貴方の過去も今もそして未来をも全て・・・・。

貴方に出会わなければ知らなかったこの感情をどうすればいいのだろう。

ひとつになる悦びでは満たされない想いをどうすればいいのだろう。




降り出した雪は今夜は積もるだろうか。

この白い世界に貴方と2人きりならば、望みは叶うのだろうか。



「都筑さん、雪ですよ・・・・。」

巽の言葉に都筑の頭が動いて窓を見た。

「巽の誕生日は、雪かも知れないね・・・・。」

顔を半分押しつけたまま都筑が呟く。



「ね、巽・・・・・・欲しいもの・・・・・・言って」

再び聞くセリフに巽は目を瞑った。

・・・・・貴方以外に欲しいものなどありはしない・・・・・。

貴方の心に届くように強く、強く想う。



「都筑さん・・・・・」

小さい呼びかけに抱きしめてくる身体を受け止めながら

夜が更けていく。



明日も明後日もそしてその次の日も

ずっと貴方をこの腕の中に・・・・・・。


2001・12・27
M・Hinase

★・・・・・・お祝いじゃないね、これ・・・・・ごめんなさい、巽さん!
怒らないで〜(T_T)。
切ないのをね、書こうと思ったのですよ。
そしたらね書いているうちにね、流れでね・・・・・・(以下言い訳が続く)。

しかし、このSSも邑輝の影がちらついてしまった(>_<)。