Friday




「ありゃ、こりゃまたお早いお帰りで・・・」

ドアを開けて中にはいると黄色い髪の男が1人でいた。

「えらい早かったなあ。予定では・・・・・晩とか言ってなかったか?」

「会議が早く終わりましたからね」

そう答えると

「・・・・・・・」

無言で天井を仰いでいた。

何を考えているかは分かる。

ええ、そうですよ!終わらせてきたんです、誰も文句を言わせないようにね!

仕方ないでしょう、そうでなければ、帰りは今日の夜中近くになっていましたし・・・。

「で、都筑さんは?」

部屋を見渡して尋ねる。

「さあ?」

「さあ?って・・・・」

「坊とどっか出ていったから食事でも行ったんやないの? まあそのうち戻るやろ」

はあ・・・・まったく早く話を聞きたいのに・・・・何をしているんでしょうか、まったく!

まあ、仕方がない、私は手にした資料の数々を持ち直し課長室へと向かった。

後で課長にお土産も届けないといけない。

ま、一緒に行ってもいいでしょう・・・とか思いつつ、しばらく待つ事に。






はっきりは聞き取れないが・・・・何か声がする。

時計を見れば2時半。どうやら戻ってきたような感じだ。

帰ってきたのが1時ぐらいだったから、随分ゆっくりした食事だったようだ。

今に始まった事ではないが・・・・。

出迎えてやっても良いが、そこは任せることにした。

何事もない振りをしてPCの画面を見ていると・・・・ドアの前に気配を感じる。

ノックをしようかどうしようか迷っている様子だ。

「どうぞ」と先に言おうとした瞬間に小さいノックが・・・・改めて私は「どうぞ」と声をかけた。


「おかえり・・・・」

そっとドアを開けて、顔を覗かせてきた。

少しだけ笑っているような、困ったような表情。

「早かったね」

そう言いながら、後ろ手にドアを閉めた。

「早く帰ってって言ったのは誰でしょうねえ?」

「・・・・・えっと・・・・・」

あはは、と笑っている彼を見て・・・そして立ち上がった。



「・・・・・巽?」

「・・・・心配したんですよ?」

「・・・・・うん」

「一体何があったんですか?」

「うん・・・・」

「・・・・・都筑さん?」

まだ話すをためらっているのか、しきりに目がおよぐ。

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

互いに黙ったまま時計の音だけが響いた。

・・・・・そんなに言いにくい事が起こったのか?

「怪我とかはなかったんですね?」

「うん・・・それはないよ」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」




「今日、来ますよね?」

「え?」

しばらくの沈黙の後彼を誘う。

「金曜日は晩御飯を食べさせろって言っていたでしょう」

「・・・・あ、そうだね・・・・うん」

何処かほっとしたような顔を見て、少しだけ安心した。

何か大きな痛手を受けているわけでもないようだし・・・・でも何があったかは聞きますが・・・



「じゃ、詳しいことは後で・・・・とりあえず仕事に戻ってください」

「え? お土産とかおやつは??」

そんなことは忘れないらしい・・・・こんな場合でも。

「後で・・・・それに、もう充分休んだでしょうに」

と私は時計を指した。

「うん・・・・・わかった」

納得出来ないまま、彼の背を見送る。

今夜は長い夜になりそうだ・・・・・。






・帰った途端、都筑が部屋に入ったから、これは!!・・・と思ったのに、すぐ出てきてつまらん・・・・;;; by亘理

・亘理さん・・・・・悪趣味です 毎度ながら・・・・・by黒崎




2004・7・9
Mai・Hinase