Monday


部屋に入って窓を開けて空気を入れ換える。

これが週の始め、月曜日にする最初のこと。

家で、誰かの為に朝食を作ることも基本的には月曜日のみの作業だが

まあ、それはプライベートなことなのでこの際カウントをしないようにした。


朝の清々しい空気の中に木々が映え、

あちらこちらから「おはよう」の声が聞こえる。

願わくば今週も何事もなく平和であれば・・・と願う。

ふと下に目を向ければ、黒崎君が登庁してくるのが見えた。

もう彼は幾つになるのだろうか・・・

見た目が十代なのでうっかり子ども扱いしてしまいそうになる。

あんな風にしていてもかなりの男前の性格であることは重々承知しているのだが

いかんせん、彼のパートナーはそこら辺が上手く理解出来ていないようで

毎回子ども扱いしては拳骨を貰っているような気がする。

ま、良い教育係だ。

彼の存在は大変助かる。

なかなか大変なことかも知れないが、きっと彼もそのことが何かしらの支えになっている

と思うので、今日も温かく彼らを見守りたいと思っている。

「さて・・・」

気合いを入れる為、声を出し、PCの電源を入れた。




・・・・やっぱり来ていない・・・・

分かってはいることだが、どうして毎回毎回こうなのだろう・・・・

3つだ、3つも目覚まし時計をかけてきたのだ、それもかなりの大音量を・・・・

なのに、起きなかったのか、もう一度寝たのか・・・とにかくまた遅刻だ。

長いだけの、余り意味のない課長の挨拶が続く中、大きな溜息をつく。

どうしたらあんなに眠れるのか分からない。

元々眠りの浅い自分から見れば羨ましいほどだ。


ドタドタドタ・・・・・・遠くから音が聞こえてきた。

たぶん・・・そうだろう。

黒崎君の眉が顰められた。

分かりますよ・・・あなたと同じ気持ちです、黒崎君。


「おはようーございまーーーーす!」

課長の挨拶もぶっ飛ばすほどの大声が部屋に響き渡る。

遅刻をしてもちっとも悪びれないところは、この人と知り合ってからずっと変わらない物の1つだ。

他の者にも挨拶をしながら黒崎君の側に来た彼は、こそこそと何か言っている。

黒崎君の口がバカ!と動くのを見た・・・まったくだ・・・・。

そしてパッと前を見て、私と目が合った。

途端にむぅ〜っっと口を尖らせる。

まるで遅刻したのが私のせいだとでも言いたいようだ。

それを見た瞬間、こちらもムッとしてくる。自分が起きなかったくせに!

『バ・カ』

見当はずれの怒りに、私も彼を睨み付けた。

『ケ・チ』

何を言ってるんです!!

さらに彼の口が動く。

『た・つ・み・の・い・じ・わ・る・・・・』

「何ですって!!?」

ざわっ、と皆の目がこっちに向けられた。しまった・・・・つい、声に出してしまったようだ。

「巽・・・?」

余りのことに驚いて振り向く課長に引きつった笑いを返す。

「いえ、何でもありません。すみません・・・」

ざわざわと声がおさまり、咳払いをしてまた話が始まる。

きっ、とあの人見たら小さく舌を出しているのが見えた。

とんでもない!

まったく子どもだ!

これで私よりも年寄りなのだから始末に負えない。

もう一度、睨み返したら、ふんっとする仕草がまた腹が立つ。

後でちょっと話さないといけない。

まったく仕事が沢山あるのに、どうしていつもいつもこうなんでしょうか!

月曜日が書類の整理でもなく、都筑さんの説教から始まらないといけないなんて・・・・

私は大きな大きな溜息をついた。


・・・・・それにしても話が長いですよ、課長。





※月曜の朝からふたりだけの世界を作るな! 
ため息つきたくなるのは、こっちや!    by 亘理




2004・7・5  Mai・Hinase