やっぱりいつものクリスマス



「ひどいよ・・・・・・」

「約束したのにさ」

「俺楽しみにしてたのに・・・・」

ぶつぶつと部屋の片隅で10時のおやつを食べながら茶を啜りながらの文句。

聞き流せば済むと思っていたが、もう30分も続いている・・・

「・・・都筑さん」

「・・・あんまりだよ」(ぼそぼそ)

「ちょっと!文句言い続けるなら追い出しますよ!」

「巽って酷いよなあ」

「都筑さん!!!」

ガタッと立ち上がり、つかつかとソファに座り込む都筑の側に立った。

「煩いですね、さっきからぶつぶつぶつぶつ・・・・」

「なんだよ〜悪いのはそっちだろう?」

「だからそれは謝ったでしょうが!」

「ふん」

「あんたね・・・」

・・・本気で雷を落とされたいんですかね!

巽は胸の中で拳を握る。

「だってそうだろう!? 今年は忙しい忙しいって秋からほとんど夕食も作ってくれないしさ!遅くまで残業ばっかりで俺がどれだけ困ったと思ってんの?!」

・・・それは私のせいですか?

巽はあまりの事に呆れかえってしまう。

「それに12月に入った時に、クリスマスはパーティーをするって言ったの巽の方だよ?」

それを楽しみにしていたのに・・・と、口を尖らせる。

「・・・・都筑さん、自分の言っていることがおかしいと思いません?」

「なんでだよ」

すうっと、巽は息を吸った。

「いいですか、都筑さん!私が秋以降、正確には今年が始まってからずっとですが、もっと正確に言って上げましょうか? ここ何十年ずっとですよずっと!望まない残業をさせられているのは誰のせいだと思うんですか? ええ??! いくら他にもだらしがない職員がいるとは言え、都筑さんほどに書類を溜め込んでいる人は皆無ですよ、皆無!分かります? あなた以外にいないんです! それなのに無自覚で、遊びほうけるわ、出てきても居眠りはするわ、たまに入った仕事でもあんな変態にちょっかいを出されて遅れに遅れるわと、何の役にも立たないじゃないですか!!」

「で、でも巽、それは・・・」

「不可抗力とでも言うんですか?ええ?どうなんです? 大体あんなのにいちいちちょっかい出されるもんじゃないですよ! 隙があるからそうなるんですよ! もっとしゃきっとしなさい、しゃきっと! 一応十二神将従えている身でしょうが!」

「一応って・・・」

「本当にこんな主でよくもまあみんな従っていますね!」

「巽、ひど・・・」

「酷い? どこがですか! あんたの怠けに付き合わされてしたくもない残業やら後始末やらやらされて!私に対してはどうなんです!あんたの方がよっぽど酷いじゃないですか!そのうえ、夕食を作らない?ですって?? まあ、よくもそんなことを言えるもんですね!いつから私はあんたのお給仕になったんですか!! 何年の何月何時何分何秒です!? 答えてご覧なさい!!!」

「でも・・・」

「でももだってもないですよ!パートナーの黒崎くんは遅れに遅れた仕事でもちゃんと期日には書類が出てくるのに、あんたはどうです?! 自分の机を見なさい! 山のように摘まれている紙はなんですか! その一番下の書類は一体何時の物だと思うんです!」

「・・・自分でも分かりません」

「約束破りとか、夕食を作らないと文句を言う前に、1枚でも書類を出してご覧なさい!」

「う・・・」

巽の剣幕に押され、都筑が黙り込むのを見て、尚も口を開きかけた時、コンコンとノックの音がした。

「・・・・はい」

巽の返事にドアが開く。

「何時何分何秒かは正確には答えられんけど、お前が秘書としてきてからずっとと思ってたわ」

「はあ?」

書類をひらひらさせながら亘理が入ってくる。

どうやら会話を聞いていたらしい、いや聞こえたのかもしれない。

ドアが開いた瞬間、部屋のみんながこちらを向いていたように巽には見えた。

「ほい、だらしない職員やけど・・・書類」

にやにやしながら巽に差し出す。

それを受け取りながら、巽は亘理を睨み付けた。

「・・・・まあ、お前の言い分ももっともやけど・・・」

そう言って俯いている都筑の頭の上に手を置く。

「ここ最近の特に忙しい状況で溜まったストレスをこいつばかりにぶつけるのはどうかと思うんやけど?」

巽は眉を顰める。

「何のことです?」

「都筑のはともかく、最近のは課長のやろ? 腰痛で思うように任務のはかどらない課長の仕事までやってる・・・」

「え? そうなの?」

亘理の言葉を遮って、都筑が顔を上げる。

「課長・・・どっか悪いのか?」

「ああ、なんか腰痛が酷いっていうことで午前中だけ・・・そうやろう?」

「・・・・」

「会議やらなんやらで、その資料作りもしてるみたいやし?」

「・・・・亘理さん」

「ま、なんでもかんでも抱え込むのも昔からの癖やけど・・・・・少しは周りにも降ろしていった方がいいと思うけど?」

「そうなのか? 巽!」

「・・・・別にいっぱいいっぱいになっていませんよ・・・・」

「ま、お前は結局こなすからな」

「巽・・・・」

心配そうに都筑が巽を見た。

「別にお前らの仲のことに口出す気はないけど・・・・せっかくのイブやし? いい雰囲気の職場で・・・と少し思っただけや」

「・・・・そうですね」

少しの間があって巽が答えた。

「じゃ、ま、そういうことで! 夜、坊と一緒に行くわ」

「ええ・・・」

「え? 行くって?」

都筑の問いには答えず、亘理はそのまま部屋を出て行ってしまった・・・・・。



ふたりが残された部屋には妙な空気だけがあって・・・・

「・・・・・あの・・・・巽? 今の・・・」

都筑が口を開く。

巽ははあ〜と溜息をついた。

「・・・・内緒にしておこうと思ったんですよ・・・・ぎりぎりまで。・・・・・今夜クリスマスパーティーしますから」

「巽んちで?」

「そうです」

「なんで言ってくれなかったんだよ!それ知っていたら・・・」

「知ってたら浮かれて余計何もやらないでしょう?あなたは・・・。毎年飾りやらプレゼントやらに時間かけて・・・」

「でもさ!」

「でもまあ・・・内緒にしておいて、こんな喧嘩のようになるんだったら意味ないですね。すみませんでした、少しあなたにあたってしまって・・・」

忙しさでこの所ピリピリしていたのは確かだった。

八つ当たりの部分もあったと思う・・・・それでも半分以上は事実だけども・・・と頭の片隅では思う。

「え? いや・・・・確かに俺も勝手なこと言ってたし・・・・・・俺もつい色々不満、ぶつけちゃって・・・・」

淋しさを抱えているのは自分だけだと思っていたから・・・こんな想いを抱えているのは自分だけかと思ってしまった・・・・



「・・・じゃあ、お互い様ですか?」

「だね・・・」

照れくさそうに目を合わせて苦笑した。

「じゃ、俺仕事に戻るよ・・・・ごめんね、我が儘言って」

立ち上がり、出ていこうとした都筑の腕を巽が掴んだ。

「巽?」

「週末ですから・・・いいですね?」

そう耳元で囁く。

最初からそのつもりだった・・・・もしあのままだったら言えないままになっていたかも知れない。

その言葉の意味を察して都筑が顔を赤くする。

そして小さく頷いた・・・・・何処かで安心する自分もいる。


「えっと・・・じゃ、あとで」

「はい」


巽はパタンとしまったドアを見て、深いため息をついた。

「何年経っても成長しませんね・・・・」

そう呟く。

あの人も・・・・そして自分も・・・・。



「さ、やれるだけやってしまいますか」

巽は気を切り替えて席に戻った。

夕方までにやることはやまのようにあるのだ。


今夜は賑やかな夜になるだろう。

普段以上に忙しい夜にもなるのだろうが、そんな忙しさは苦にはならない。




結局、いつものクリスマス。

これまでも

そしてこれからも・・・・・。


 2004・12・24
 Mai・Hinase


★えー結局こういうことで・・・・
ややこしい、ややこしい人たちですわ!!(笑)
一度途中まで書きかけて・・・・やめてました・・・
なんか思ったより殺伐とした物になったので・・・
でもまあ力任せで不時着させたので掲載します・・・・
なんかあんまりLoveにならなくて(まったくだよ;)すみません;;
来年こそは甘い巽都綴ります、はい!

ということで・・・・メリークリスマスv