Happy Happy



「いいか、おろすぞ?」

「うん!」

俺の身体を持ち上げた岩城さんがゆっくりと真っ白いケーキの上に動く


俺の手の中には大きなイチゴ

そして俺の下には朝から2人で作ったケーキがある

俺はイチゴを落とさないように・・・でも強くは持たずにそっとそっと置いた

最後のひとつだ

やわらかいクリームの感触がイチゴを挟んで伝わってきた

「やった!」

「出来たな!」

岩城さんは俺をそのまま抱えて胸のところに引き寄せる

「パーティーに間に合ったね」

数日前からあれやこれや準備して

今日は早起きして頑張った

岩城さんは 俺は見ているだけいいぞ?って言ったけど

自分が食べるにしても やっぱり作りたい

そしてみんなにも岩城さんにも食べて欲しかった



2人で出来上がったケーキを見る

白いクリームの上には俺のリクエストのイチゴ

そして真ん中には岩城さんが書いてくれた「お誕生日おめでとう」の文字

どんな所で売っているよりも一番綺麗で 一番美味しいケーキの出来上がりだね

それがとっても嬉しい



「清水さんは来られるかな?」

忙しいようなことを聞いた気がする

「ああ 用事はあるけれど”絶対行きます!”って言っていたぞ。長くはいられないけれどケーキは食べますって」

えへへ・・・そっか〜

「小野塚くん達も夕方からは時間があるから来るそうだし 良かったな 香藤」

「ふ〜ん・・・・」

そっか・・・来るのか・・・ちょっと嬉しいかも

でもそんなことは言葉に出さない なんか恥ずかしいような変な気持ち

でも岩城さんが 俺の答えにクスッと笑うのが聞こえた



他の料理は取り寄せて お酒も少しだけ

岩城さんは俺はまだ駄目だって言うんだけどね

でも誕生日ぐらいいいような気がするんだ

俺は子供じゃないし・・・・ちょっとだけ小さいだけだし

みんなで乾杯して

話して

笑って

それから・・・・

遠くで岩城さんが”少しお休み・・・”って言ったような気がする





「香藤・・・香藤・・・」

岩城さんの声

軽く揺り動かされて目を開けると

ロウソクの灯りに照らされた真っ赤なイチゴの向こうに

大好きな

そして

大切な人たちの顔があった

ばっと起き上がった俺に

「お誕生日おめでとう! 香藤」

岩城さんの声が降り注ぐ

顔を上げると 優しい微笑みがあった

「・・・・ありがとう 岩城さん」

そして次々と声をかけられる

嬉しいね 楽しいね



岩城さん

俺・・・とっても幸せだね






Happy Birthday 親指香藤くん

2008・6 舞