愛しき人へ・・・
| 青く澄んだ空。 暖かな陽射し。 それを受けて輝く緑。 こんな穏やかな空気に包まれていると20年前の悲惨な戦争が嘘の様に思える。 ジュリア、君が生きていたならどんなにこの平和を喜んだだろう。 いや、今の平和はあの時君が命をかけて守ったからこそあるんだ。 そしてあの時君が死んで生まれ変わったからこそ守られているんだ。 そう、ユーリが魔王になったからこそ…。 最初は君を恨めしく思っていた。 なぜ魂を運ぶ役に俺を指名したのか。 戦争の犠牲になって命を落としたのになぜそんなにも美しい魂でいられるのか。 君を大切に思っていた人たちへ未練や思いは残らなかったのかと。 地球という異世界に転生されることも気に入らなかった。 これでは君を見守ることができないと思ったから。 しかしユーリの両親と出会い、この二人の元でなら君は幸せな時を過ごせるだろうと 思った。 そして魔王として眞魔国に戻った時には今度こそ君の幸せを守りたいと思った。 そう、君の魂を持った者だから守りたいと思っていた。 ユーリがここに来た時まだ最初はそう思っていた。 だけどユーリを傍で見ていて分かった。 魂は同じでも君とユーリは全く違うのだということが。 君は運命を受け入れその中で気高く力の限り生きていた。 でもユーリは違う。 運命に従うのではなく自ら運命を切り開こうとしている。 突然この異世界に連れて来られて驚いただろう。 そしていきなり次代の魔王だと言われ戸惑っただろう。 それでもユーリは自分が戦争を止める立場に立てるのならと魔王になることを宣言した。 地位や権力のためではなく、連れて来られたばかりの世界の平和を守るために。 平和を守ることはそう容易いことではない。 ユーリは今まで本当の意味で戦争を知らずにきたのだろう。 それでも彼ならできるのではないかと思ってしまう。 そう思わせるものをユーリは持っている。 「おーい、コンラッドー。お待たせー。」 頭上からユーリの声が聞こえた。 見上げればユーリが骨飛族に抱えられこちらに向かって手を振っていた。 「サンキュー、コッヒー。」 地面に降り立ったユーリが礼を言うと骨飛族は嬉しそうにカクカクと顎を鳴らした。 「へっへ〜、脱出成功。行こうぜコンラッド。」 ユーリは俺の足元のグローブを取って駆け出し振り返ってピースサインを出して見せた。 今頃城の中では講義の途中で逃げられたギュンターが嘆いているだろう。 彼には悪いがユーリは太陽の下に居るほうが似合っていると思う。 ジュリア、君を忘れるわけじゃないけど俺は今『ユーリ』を守りたいと思っている。 いや、守りたいなどとはおこがましいのかもしれない。 ユーリは俺よりよほど強いのだから。 ユーリとこの世界の平和を見守っていきたい。 ユーリの傍で彼の幸せを見守っていきたい。 それが今の俺の幸せなのだから。 |
2005・3 グレペン
体の調子が悪い時に
お見舞いでいただいたSSですv
コンラッドの想いが手に取るように伝わってきます・・・
本当に早くふたりにまた穏やかな時間が来ると良いな・・・
と、思わずにいられません・・・
グレペンさん素敵なお話ありがとうございますv
暖かい心をいただきました・・・