「んっ・・・・」
肌を上を撫でる温かい布が胸に降りてきた。
「香藤っ・・・」
「ん?」
岩城の反応を楽しむように微笑んだ香藤が顔を上げる。
「何? 岩城さん」
「・・・おまえは・・・あっ」
最初からこのつもりだったんだろう!と、言葉を続けようとしたが
布越しに小さな突起を挟まれて声をあげてしまう。
「何かなあ〜?」
明らかに反応を楽しむ様子に文句を言いたいが、熱が少しあるせいなのか
身体が香藤の動きに敏感に反応してしまい、思うように出来なかった。
「あっ・・・・」
空いた手で腰を撫でられて岩城は身体を捻らせた。




夜中、ドアの開く音に目を覚ました。
「あ、起こしちゃった?」
かけられた声にぼんやりと岩城は目を開ける。
視界がはっきりしていく中、ベッドのランプをつける香藤が見えた。
「今・・・何時だ?」
「12時少し前・・・夜中だよ」
「そうか・・・」
夕方に起きて、少しだけ読書をした後、ほんの少しの食事をしてまた寝付いてしまっていたらしい。
ずっとベッドの中だった。

「寝過ぎだな・・・」
「そう? こんな時ぐらい休まないと・・・」
そう言いながらベッドの脇にかがみ込んだ香藤は持ってきたタオルをお湯に浸した。
「香藤?」
「俺うっかりしちゃって・・・岩城さん身体拭かないと」
「お、おい!」
見ると香藤がほんわかした見るからに温かそうなタオルを手にしている。
「風呂ぐらい今からでも・・・」
「何言ってんの!? 今度はもっと熱出ちゃうよ?」
「じゃあ、自分でやるからいい!!」
「自分じゃ拭きにくい所もあるでしょう?」
「ない、ないから!貸せ、自分でやる」
「岩城さ〜ん、病人は病人らしく!」
タオルをとろうとする岩城を押さえつけて香藤が言い聞かせるように言う。
「やめろって!」
「なんで? 恥ずかしがることないじゃん!!」
「やっぱり風呂に行く!!」
「じゃあ、お風呂までかついでって、隅々までシャワーあてちゃうよ? いいの?」
「何言ってるんだお前は!」
「でもそれって身体が冷えて良くないし・・・・だから拭かせて?」
「駄目だ!」
「岩城さ〜ん、言うこと聞いてよ!」
「そんな恥ずかしいこと出来るか!」
「普段もっと恥ずかしいことしてるよ?」
「おまえは・・・!」
「ね、そっと・・・そっとだから・・・・お願い!」
「香藤・・・・まったく・・・・・・」
手を合わせて目の前で頭を垂れる姿に溜息をつく。
身体を冷やすことはしたくない、でもこのままでは気持ちが悪い・・・
「少し・・・・だけだぞ?」
一抹の不安はあるものの岩城は折れることにした。
「ホント! やった!!」
ぱああっと笑う香藤の顔を見て・・・・自分の失言に気付いたが・・・・既に遅かった。




「ああっ・・・・」
岩城は与えられる快感に首を振る。
もう全身の感覚は香藤の動きを追っていた。
首を胸をそして腰を辿るその動きに反応してしまう。
上半身だけという約束はどこへやら・・・・暖房の効かせた部屋でほとんど全裸の岩城の脚を香藤が大きく開かせていた。
体を拭くはずだった布は岩城のそれを包み込みこんでいて・・・・。
「ああ・・もうっ」
時折上下に動かされるだけの緩い刺激が余計身体を煽った。
「どう・・・?気持ちいい?」
そっともう片方の手を下に降ろす。指がそこに触れた。
「・・・っ」
きゅっと力が入り入り口が蠢く。
「・・・・・少しだけ力・・・抜ける?」
そう言いながら布をまた動かす。
「あああっ・・・」
ふっと意識が逸れた瞬間を逃さずにぐっと指が差し込まれた。
「うっ」
「熱い・・・熱いね岩城さん。いつもよりずっと熱い」
「言うな・・・バカッ」
苦しい息の下でせめてものの抵抗だ。

そもそも何でこんな風になっているのか、最初はそんなつもりがなかったとしても、体を拭いてやるという行為が自分たちの間では、特に香藤にとっては、こういう事に繋がる事になるくらい分かりそうなものなのに・・・・と、それを許した自分に腹が立ってくる。
でもそんなものはすぐ意識の外へと押しやられる。
「もう1本入れるよ?」
岩城の返事を待つまでもなく香藤の指が入り込む・・・ゆっくりとそして確実に知り尽くした場所を見つけ出そうと動く。
「あっ・・・香藤、もうやめっ」
「本当に熱いよ、岩城さん。熱があるとこういうところまで変わるんだね」
「もう気が済んだ・・・だろうっ」
「ん?」
握りしめていたそれから布をはずした。
「そのつもりだったんだけどね・・・・無理」
「香藤っ! 熱があるんだぞ、俺は!」
「うん・・・・分かってるけど・・・駄目。岩城さん1度いって?」
「おまえは・・・あっ!」
岩城の言葉を遮るかのように香藤が手の動きを早くする。
「ま、待て・・・あっ」
やっぱり身体が本調子でない分刺激が直に伝わってくるようだ。直に触れられた所に身体の全てが持って行かれる。そして中で蠢くものがそれになお一層の刺激を与えて・・・・。
「やあっ・・・・・かと・・・・」
快楽に慣らされたものはいとも簡単に弾けた。
枕を背にしているために快感に震える表情が手に取るように見えて・・・・。
「岩城さん色っぽい・・・たまんないよ」
自分の手で悦びを与えられることに香藤は微笑んだ。


動かす指が、手のひらがそれらを生み出していることが嬉しい。
もっともっと悦ばせてあげたい・・・・そうこの手で、この身体で。
岩城の身体が本調子でないことは分かっている・・・・でもそれでも目の前の色香に勝てない。
それにもう岩城の身体も煽られて焦らされてどうにも治まらないだろうと勝手に解釈することにした。
ならば汗をかかせてしまえ!とまで・・・・。
指で感じる熱さはまるで誘っているように伝わってくる。
この中に自分を、そうもっとその熱さを感じる為に、この身体にもっともっと強いものを与えたくて・・・。
香藤は岩城の身体に埋めた指をそっと抜いた。

「うっ・・・」
もう諦めたのかさして抵抗のなくなった岩城の身体がびっくと反応した。
それさえも刺激になるのだろう1度解放した右手の中のものが大きく膨らむ。
手に伝わる脈も強くなる。

・・・もう限界!・・・

「岩城さん・・・入るからね」
返事はない。例え嫌だと言ってももう止める気もない。
今この瞬間だけは快楽だけを求めるだけのものに・・・・・・香藤は腰を進める。
そして指で感じた熱さを別のもので感じて、いっそうの興奮へと繋がった。
「くっ・・・」
「あ・・・はあっ・・・・」
全身で自分を受け入れようとしてくれているこの身体が愛おしい。
「岩城さん・・・・岩城さん・・・・岩城さんっ」
名前を呼び続けた・・・・。
それからはもう互いに高めあうだけ高めあって・・・・・・・獣のように貪った。
部屋に響くのは肌の擦れ合う音と2人の息づかいだけだった・・・・。

「いっ・・・・いいっ、か・・・・とうっ」
絞り出すような声が出る。
それが合図だったように岩城が先に放ち、香藤は締め付けるものに全てを任せ内に叩きつけた。
汗で濡れた身体がばさっと重なった・・・・・・・。


「ごめんね・・・怒ってる?」
抱きしめたまま
息の荒いままたずねる。
少しの間の後・・・・
「・・・・・・呆れてる」
小さく答えが聞こえて・・・・香藤は笑ってまた抱きついた。







「あっ・・・」
身体を起こした香藤が声を漏らした。
「なんだ・・・?」
「もう27日になってる・・・・岩城さんおめでと」
「バカ・・・・こんな体勢で言うな」
「でも俺達らしくない?」
「お前が・・・だろ。一緒にするな」
「もう岩城さんったら・・・・・・でも本当におめでとう」
耳元で囁く。
「・・・・ああ。とんだ誕生日の始まりだ」
「良かったくせに・・・でも本当に熱かったよ」
「言うなって言ってるだろう!」
「ふふふ、わかったって・・・・・身体拭いてあげるね」
今度は大丈夫だよ〜と、喜々として放り投げていたタオルをとる。それを見て慌てて岩城が起きあがる。動いた後だからか、さっきよりも体が軽い。
「もういい、シャワーでも浴びてくる」
「えええ?? 駄目だよ、身体に障るし」
「っ! お前が言うな!」
そう言い放つとベッドを降りてスタスタと歩き出す岩城の後を慌てて香藤は追った。
「ちょ、ちょっと待ってよ、岩城さん! それなら俺も一緒に・・・」
「お前は来るな!」
「そんなあ〜洗ってあげるから」
「結構だ!!」



2人の声が廊下を抜け・・・・・消えていった。




Happy Birthday・・・・・夜はまだ始まったばかりだった。

2004・1・27