モーニング・ナイトメア



 うなされる鷹秋の声で新川は目覚めた。

 時計を見ると10時を少し回っている。といっても、ホスト稼業の二人には真夜中同然の時間帯だ。空調の効いたベッドルームに、厚地のカーテンの隙間からまぶしい真夏の朝日が漏れてくる。どうやら、汗だくになったからだのまま抱き合って呼吸を整えているうちに、眠りに落ちたらしい。うなされる鷹秋の顔が目の前に、その悩ましいからだはそのまま新川の腕の中にあった。

 鷹秋の口は半開きで、やけに呼吸が浅い。何か悪い夢でも見ているのか、絶頂を迎えた時のように美しい眉を寄せている。その表情がせつなくてしばらくそのままにしていると、固く閉じられた鷹秋の目尻から涙がこぼれた。慌てて、鷹秋を揺さぶる。

「鷹秋さん! 鷹秋さん!」

 新川の声に夢をさえぎられて、胸が押しつぶされるような気持ちのまま、鷹秋は目覚めた。自分の瞳が濡れているのがわかって、慌てて右手の甲で目を覆う。新川がささやく。

「どうしたの? うなされてた……」

「……いや、なんでもない…」

 反射的に否定しながらも、今見た夢の記憶が鮮やかによみがえる。一人残された代官山のマンションの夢。この夢をみたのは久しぶりだ。しかも、夢の中で自分を残して消えたのは岩城ではなく、新川だった。部屋を抜け出して追いすがりたいのに、あの部屋で立ちすくんだまま、からだがこわばって動けなくて……。夢だ、夢だったんだと自分に言い聞かせる。

 目を隠したまま窓のほうに寝返りを打とうとしたら、新川の腕に抱きとめられた。

「隠すなよ。顔、俺に見せてよ」

「うるさい。何でもない」

 新川は思う。ほんの2〜3時間前、俺の腕の中で何度も絶頂を迎えた美しい恋人。あんたのからだはあんなに素直に俺にしがみついていたはずなのに、心は素直じゃないんだよな。でも、そういうあんたのプライドの高さに、俺はメロメロになっているんだぜ……。

 新川はフッと笑うと、目を隠した鷹秋の手と自分の手の平をゆっくり組み合わせ、そのまま鷹秋の手を自分の唇に引き寄せた。あらわになった鷹秋の目元はかすかに赤らんでいて、顔には不機嫌そうな表情が残っている。手の甲にキスした唇を、鷹秋の目元に落とし、次にゆっくりと唇へと近づけていく。

 ふと鷹秋がカーテンのほうに顔を背けて、小さくつぶやいた。

「お前のせいだ」

「えっ、何?」

 すぐに新川のほうを振り向いて、激しく口づける。足をからめ、からだをすりつけ、手の平を新川の股間にそわせる。のしかかる新川の熱さを求める自分を、鷹秋は抑えられなかった。新川のからだに火をつけて、夢の恐怖感をぬぐうのだ。もう一度、幼子のようにその腕の中で眠りにつくために……。



2004.8.17 ゆみ




新川×鷹秋でございますv
ゆみ様からのお誕生日プレゼントです!!
嬉しいぃぃぃ〜v ありがとうございますv
Loveなんだけどちょっと切なくて辛いものもあって・・・・
・・・・彼らの恋そのものですよね・・・・
そしてそこはかとなくエロい・・・萌えv
ゆみ様ありがとうございます! 大切にしますね