| 「じゃ、お先〜!」 部活が終わって急いで着替えていた菊丸が声をあげる。 「早いッスね。」 まだ汗を拭っていたリョーマは頭からタオルを掛けたままで声をかける。 「へへへ、用事があるんだよ、今日は!」 「それって・・・もしかして・・・・デートっすか?」 バレンタインだ、それもあり得る。 興味津々に桃城が顔を向ける。 「内緒!」 「あ〜あやしい!あやしいっすよ、先輩!」 「じゃあな!」 尚も聞き出そうとする桃城を押しのけて菊丸はドアを開ける。 「大石!」 「ん?」 「今日の所、反省しておかないとな。」 「ああ、そうだな。」 大石が答える。菊丸がにっこり笑った、そして出ていく。 「本当にデートかも・・・・・大石先輩、何か聞いてますか?」 「いや、別に。」 特に興味もない風に答えて、鞄を持つ。 「じゃあ俺は帰るから、桃、戸締まり頼んだぞ。」 「あ、はい。」 淡々と出ていく大石を見送る。 「なあ、越前、お前どう思う?」 「別に・・・・興味ないッスよ。」 「なんだあ〜お前、若くないぞ!」 バンと背中を叩かれて、咳き込むリョーマだった。 「よ、早かったな。」 大石はコンテナの上の菊丸を見上げる。 「そりゃあ、大急ぎで走ってきたからね。おかげで息が切れちゃって大変。早く上がってきてよ!」 「ああ。」 「えへへ。」 よっと、鞄を置く大石を見ながら菊丸が手にした紙袋から包みを取り出す。 「ほいっ、俺の気持ち。」 「・・・・ありがとう。」 「なんか照れるな、こういうの。」 「そ、そうだな。」 包みを前に2人で照れ隠しに笑う。 「やっぱ大石だね、此処にちゃんと来てくれるって信じてたけど。」 「分からないわけないだろ・・・・俺とお前の仲で。」 「うん!」 嬉しそうに菊丸が笑う。 その笑顔を見て大石が微笑む。 「これ・・・・・ありがとう。手作りしたんだな。」 「姉ちゃんの持っているお菓子の本を盗み見してさ・・・・大変だったんだ;;」 「そうか。」 「見た目は不格好だけど、味は大丈夫!」 「そうだな・・・お前は器用だから、心配してないよ。」 「大石・・・」 「じゃあ、俺からもお返し。」 「ん?」 「英二、目を瞑って・・・・。」 「あ・・・・うん。」 少し照れながら菊丸が目を閉じる。 「ありがとう・・・・英二。」 そっと耳元で呟きながら、そのぬくもりを落として・・・・。 コンテナの上の二つの影はいつまでも寄り添っていた。 |