| 初体験 2月3日 PM6:00 跡部が自室で寛いでいるとドアがノックされ執事が入ってきた。 「景吾坊ちゃま、忍足様がお見えです。」 「侑士が?分かった。ここへ通せ。」 「はい。」 執事が丁寧にお辞儀して退出して間も無く忍足が入って来た。 「よぉ〜跡部。邪魔するでぇ〜。それにしても相変わらずごっつい部屋やなぁ〜。」 忍足は跡部に軽く片手を上げて挨拶すると興味深そうに部屋を見回した。 「侑士、何の用だ?」 跡部がこう尋ねるのも無理はない。 二人は1時間ほど前に学校で別れたばかりなのだから。 忍足は跡部の質問など我関せずと言った風でキョロキョロと部屋を観察している。 そこへドアがノックされ執事がお茶を運んできた。 「景吾坊ちゃま、お茶をお持ちいたしました。」 ワゴンに乗っているのは香り高い紅茶…ではなく、日本茶だった。 「これは…」 「どうもおーきに。俺が執事さんに頼んだんや。日本茶にしてくれゆうて。」 跡部が問い質そうとするのを遮って忍足が説明する。 執事が恭しく退出するのを見送って跡部が問う。 「俺様に断りもなくなんでそんな事をしたんだ?」 忍足はその質問に答えることなく逆に問いを発した。 「跡部、お前もう晩飯食うたんか?」 「?…まだだが。そんな事より俺の質問に答えろ。」 少し苛立った様子の跡部に向かってコンビニの袋が差し出される。 「答えはこれや。お前と一緒に食おう思て持って来たんや。」 中を見てみると紙製の鬼のお面と「福豆」と書かれた小振りの袋、そして巻き寿司が2本入っていた。 「何だこれは?」 「見てのとおり豆撒きの豆と巻き寿司やないか。」 忍足は見て分からないのかと言わんばかりの口振りだ。 「豆は分かる。だがこの寿司は何なんだ?」 重ねて問う跡部に忍足は半ば呆れたようにため息をつく。 「はあ〜っ。お前知らんのか?これやから金持ちっちゅうヤツは。ええか。これは節分の丸かぶり寿司や。その年の恵方に向かってこれを丸かぶりするんや。関西では昔からめっちゃポピュラーな行事やのに。ここ2,3年で全国的に広がっとるんやで。」 そう説明されても跡部にはまったく理解できなかった。 「???えほう?それに何のために丸かぶりなんかするんだ?」 「恵方ゆうんは縁起のええ方角のことや。今年は東北東やて。」 忍足はポケットから方位磁石を出すと方角を確認する。 「東北東ゆうたらこっちやな。でこっちを向いて寿司を丸かぶりしたら1年間無病息災でいられる言われてるんや。あ、1本食べ終わるまで喋ったらあかんで。」 忍足はお茶と一緒に運ばれてきたお絞りで手を拭くと寿司のパックを開いた。 「跡部、何しとんのや。はよしぃ。」 忍足に促され跡部もわけが分からないままに寿司を手にする。 「よっしゃ、ええか。ほな、いただきます。」 「………」 戸惑う跡部に忍足はもくもくと寿司を食べながら「早く食べろ。」と目で促してくる。 (どうしてこの俺様がこんな下品なことをしなければならないんだ。) 跡部はそう思いながらも仕方なく寿司を食べ始めた。 跡部が何とか食べ終わると忍足が満足そうな顔をしてみていた。 「どや?丸かぶり寿司初体験は。ま、お前の場合丸かぶりどころか巻き寿司食べるのん自体が初めてやろけどな。そやけど、人の上に立とうと思たらこういう庶民のささやかな楽しみを知ることも大事なんちゃうか?」 「こんなことは一度経験すれば十分だ。」 顔を赤くしてそっぽを向く跡部を忍足が後ろから抱きすくめる。 「お前のそういう可愛いとこが好きなんや。せっかくやから俺がもうひとつ初体験させたるわ。」 耳元でそう囁かれ跡部がドキッとして振り返ろうとすると突然目の前が暗くなった。 「節分のメインイベントゆうたらやっぱり豆撒きやからな。お前鬼の役なんてやったことないやろ?」 跡部は顔に感じる圧迫感と狭くなった視野でさっきの袋に入っていた鬼の面を被らされた事に気づく。 「おい、侑士。俺様に何をする…」 「鬼は〜外〜。福は〜内〜。」 跡部に抗議させる暇もなく忍足は楽しそうに豆をぶつけてくる。 「おい、侑士。やめろ。」 「鬼は〜外〜。福は〜内〜。」 こうして跡部は今までとはまったく違う節分を過ごした。 |
| ★グレペンさまがお見舞いにと書いてくださいました! 嬉しいですぅ。 あ、跡部様が異常に可愛いんですけど??(*^_^*) きゃあ〜可愛いvvv コンビニの巻きずしにかぶりつく跡部様・・・・はあはあしちゃいます・・・想像だけでやばいです(アンタがやばいって;;)。 忍足が滅茶苦茶庶民的でナイスですわ〜勿論この後は・・・・ですわね! 跡部様に豆をぶつける・・・・それはそれで萌えv(アンタねえ;;) 美味しいお話ありがとうございますv 萌え萌えv |