「・・・・は?」

つい間の抜けた音を発してしまった。

読んでいた雑誌から顔を上げて正面少し斜めに座っている男の顔を見た。

「え? 聞こえなかった?」

くすっと笑う。

「いや・・・・聞こえたが・・・」

何でそんなことを言うのか

どうして今そんなことを・・・ということで他の言葉が出なかった。

「どうした・・・一体・・・」

今まで気がつかなかったが・・・・

気のせいか今日のこいつは少しだけ表情が柔らかい気がする。

「別になんでも。ちょっと言いたいかなあ、とか思って」

「・・・・・・」

しばらく顔を見つめて・・・・ふん、と一言言った。

また雑誌へと目を落とした。



おそらく・・・何か連絡があったのだと・・・そう思った。

それもいつものメールではなく

声でも聞けたのだろうと。

頁をめくりながら表情をかいま見れば

ほんの少しだけ微笑みながらやはり雑誌をめくっている。

「良かったな」

とか言えばいいのかもしれない。

でも俺たちはそんな関係じゃないからそれも似合わない。

まして相手が何も話さないうちにそんな見透かしたようなことは言いたくもなかった。

少なくともこれに関しては。



『ありがとう』

確かに聞こえた5つの音。

それは何に対しての事なのだろう。

俺という存在に?

それとも俺との行為に?


だとしても・・・・俺には関係ない。




いつまで続くのだろう・・・・


ふとそんなことを考えた。

2004・5
日生 舞