意味

  日曜の午後

楽しそうに行き交う人々を眺めながら

やがて此処に来るだろう人物を待っている

腕に少し重い時計を見れば・・・あと10分

こんな時にまでこんな物をしてくるなんて・・・笑ってしまう

習慣って恐いね



来るという自信もない

でも

来ないはずとも言えなかった

だから来た

そして僕は待っている



何も知らない子供ではない

それがどういう事を指すのか

僕が何を言っているのか分かっていたはずのに

頷いた・・・・・君

いいの? 本当に・・・もう戻れないかも知れないよ?

勿論上手くはやるけどね・・・・君もだろうけど

・・・・また時計を触った




『少し・・・イメージが違ったか・・・』

そう言いながら不器用そうに僕の腕にはめていた人は

此処にはいない

何故いないんだろう・・・・今何を見て 何を考えているのだろう

そしてどうして僕は此処にいるんだろう・・・




俯いた視界に見慣れた靴先が見えた

・・・来たんだ・・・

ふっと笑う 

本当に君って人は・・・

なんかとてつもなく切ない気分になる

切なくて 切なくて・・・・涙も出ない


「不二」

顔を上げた

いつもと変わらない幼馴染みの顔があった

「来たんだ?」

微笑むと

「来てやったんだ」

そう言い返されて・・・・・

素直じゃないね・・・・君も

今日ここに来る事の意味が分からない訳ではなかったろうに




「堕ちる」

今ふたりしてこの文字の通りになろうとしているんだよ?

互いに愛しているものがありながら

何よりも求めるものがありながら



でも それでも

共に「おちる」んだね?



すっと君の手をとった

「お、おいっ」

僕の急な行動に声をあげる

可愛いね・・・君は

そして優しいね



僕はひとりぼっちは嫌い

孤独なのは耐えられない

だから

この手は離せないよ?

いい?


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