約束
| 「ねえ、明日の予定ってある?」 休日の練習の為に少し早めに終わった部活の帰り道、部室出てから一言も発さなかった不二が門を出た所で口を開いた。 心の動揺を出さないまま・・・ 「いや・・・」 手塚は短く否定する。 「そう。」 それだけ言うとまた沈黙がやってきた・・・。 今日は23日。 よって明日がクリスマスイブということになる。 そしてそれが自分たちにとっても無関係ではないことは、いくらその方面に疎い手塚でも気づいていた。 クラスでは妙に浮き足だった空気が流れていたし、現に何人かのクラスメートからの誘いもあった。 でも・・・・ 手塚は横を歩く不二を横目で見る。 肝心の不二は一切そういう素振りを見せない上に、何の言葉もかけてこない。ようやく・・・と思ったら一言で終わってしまった。 手塚は考える、ここで何か聞くべきだろうか・・・・と。 ・・・・・聞く・・・・? 何を? 『明日、何かあるのか』 とか? 『おまえの予定は?』 とか? ・・・・・白々しい様な気もする。 でも・・・・このままでは・・・・。 あれやこれやと思いつくものの、余計ごちゃごちゃしてしまい手塚は段々煮詰まってきてしまう。 その間も特に会話はないままだった・・・・。 「・・・・塚! 手塚!」 呼ばれる声に顔を上げる。 声が後ろから聞こえ振り返ると、心配そうに手塚を早足で追いかけてくる不二がいた。 「あっ・・・・・」 いつの間にか下を向いたままさくさくと足を進めていたようだった。 「どうかした? 急に歩くのが速くなるから・・・・大丈夫?」 「あ、ああ。」 「ホントに?」 顔を覗き込まれる。 不二の顔が近づいて来て手塚は息を止める。顔が熱くなるのを感じた。 その様子に不二はふんわり微笑む。 「本当に大丈夫? 顔が赤いよ。」 「な、なんでもない!」 「そう?」 顔を真っ赤にしてそっぽを向こうとしている様子は何とも愛らしくて・・・。 不二は荷物を持ちかえると、すっと手を伸ばした。 「わっ!」 突然、額に当てられた冷たい手に手塚は思わず声をあげた。 よろけて道沿いのコンクリートの壁に寄りかかる。 ひんやりとした手が額を覆った。 「んー少し熱いかな? 体調が悪いのかな。」 「ちょ、ちょっと・・・不二!」 「ん? 何?」 微笑んだまま手をどけようとしない不二に手塚は慌てる。 「て、手が・・・こんな所で・・・」 その言葉に不二が益々微笑む。 「こんな所って・・・・熱があるかどうか見ているだけじゃない。・・・・それに手塚がどければ済むことじゃないの?」 ・・・・それは分かっているのだが、どうにも身体を思うように動かせない・・・・ 「ね?」 当てられた手が段々と熱を持つ・・・・。 「手塚。」 耳元に囁くような声で名前を呼ばれると、益々身体が動かせなくなる。 「・・・・・ねえ、何考えてたのかな?」 「な、なにが・・・」 「さっき・・・・明日の予定を僕が聞いてからだよ。手塚は何を考えていたの?」 「何も考えてない。」 不二が少しだけ首を傾げる。 額に当てた手を頬へと滑らせた。 「っ・・・、不二!」 「嘘だよね。」 「や、やめろって・・・」 ここが通りであることを不二は忘れているのか・・・こんな場面を誰かに見られたら・・・でも手塚自身も周りを確かめる余裕もない。 「ね、何?」 「不二・・・・」 不二の指が手塚の頬を撫でる。 それは何処か覚えのある感覚・・・・。 手塚は思わず目を瞑る。 「手塚・・・・」 「明日・・・・」 「明日?」 「おまえは・・・どうしたいのかって・・・・」 声を振り絞るように手塚は答える。 その答えにくすくす・・・と不二が笑う。 そしてもう一撫でして・・・・ようやく手を離した。 手塚が大きく息を吐く。 壁にもたれかかっている手塚を不二が面白そうに笑う。 ・・・今日はこれで勘弁してあげるよ・・・ 本当はもっともっと慌てさせて、感じさせてあげたいけれど・・・。 「明日・・・・空けておいてね。」 まだ身体を壁に預けている手塚に不二が言う。 その言葉に手塚が顔を上げた。目が合う。 ・・・言葉はない・・・でも交わす約束。 「それじゃあ。」 不二が手を挙げる。 夕陽を背にして歩いていくその後ろ姿を手塚は見つめ・・・・そして身体を壁から起こした。 明日はクリスマスイブ。 どんな時間が自分を待っているのだろう・・・ それが不安で・・・・でも少しだけ期待してしまう自分がいるのも否定できない自分がいることを手塚は否定できないまま不二の姿をいつまでも見送っていた。 |
Copyright(C)2002 日生 舞 All rights reserved
★手塚・・・・・こんなキャラで良いのか? 良いのか?(汗;)
何か間違っている気がする・・・・私。
それよりも何よりもこんなのをクリスマスSSにして良いのでしょか。