「不二!」
君が呼ぶ。
「ふ〜じ」
君が笑う。
どうしてだろう 君が呼ぶと僕の中に暖かなものが広がるんだ・・・
君の笑顔を見ると幸せになるんだよ。
「おはよう、不二!」
朝、教室に入った途端かけられた声。
いつもの笑顔に、僕は微笑む。
「おはよう、英二」
えへへ、っと何がおかしいのか分からないけれど君が笑う。
そして鞄を机に置いた途端に腕を引っ張られた。
「な、何?」
「いいからこっち!」
訳の分からないままに連れてこられた屋上へと繋がる階段の踊り場。
始業までは誰も来ない場所。
「此処へ座って」
床を指さす君を見つめた。
「此処へ?」
「そう、此処!」
「うん・・・」
とりあえず言葉に従う。
「座ったよ」
「よし!」
そう言うと、ばっと横になった英二は僕の膝の上に頭をのせた。
「え、英二、何?」
慌てる僕をよそに君は目を瞑って満足そうに笑う。
「はあ、やっぱり気持ちいいや。昨日夜遅かったんだよね・・・少しの間こうしてて」
「こうしててって・・・」
あまりのことにびっくりしてしまった。
でも・・・ごろごろとまるで猫のように膝に顔をすりつけてくる様に思わず手を伸ばす。
柔らかな髪をそっと撫でると気持ちよさそうにする君が身体をよじる。
「しょうがないね、じゃあ少しだけだよ」
溜息混じりに言うと
君がぱちりと目を開けた。大きな目が僕を見上げる。
「うん、ありがと。不二は優しいね」
そう言ってまた目を瞑った。
「それはそれは・・・」
そして・・・・・君の寝息が聞こえた。
こんな堅い床の上で
こんな色気も何もない階段の踊り場で
僕たちは何をしているのだろう・・・・
膝に感じる英二のぬくもりを大事に抱きしめながら僕も目を閉じた。
いつもいつも驚かされるね。
太陽のように笑って、飛び回って・・・・まぶしいくらいに。
ねえ、1つお願いをしてもいいかな・・・・。
目が覚めたら、また僕の名前を呼んで・・・・。
そしたらきっと僕はもっと幸せになれるから。
僕も呼ぶから・・・・・
そっと額にキスを落とすと少しだけ君が微笑んだ気がした。
遠くで始業のベルが鳴る・・・・・でも今は、今だけはこのままで・・・・。
2003・6・25
日生 舞