僕が見つめると

君は大きな目を見開いて黙るんだね。

いつもは冗談ばかり言っているのに、ふと黙り込むんだ。

そして僕ではない他のものを見つめる。

それはグランドだったり

手元の教科書だったり

ラケットだったり・・・・。

それが合図になって、僕は再び話を始める。

何事もなかったように、たわいないことを。

すると君はまた笑ってこちらを向く・・・・。

僕が見つめた意味を

視線に込めた想いを気づかない振りをして。




「ねえ、英二・・・」

「ん?」

僕が貸したノートを必死で写しながら顔も上げずに答える君。

「週末、何処かに行こうか?」

ノートの上を滑っていたシャープペンが止まる。

最近ふたりの間に流れるようになった空気が満ちてくる。

「・・・んーっと、何処に?」

顔を上げずに答える君を僕は見つめる。

動き出したペン先を追う。

「何処がいい? 英二の好き・・・」

「大石とかも誘おうか? 桃とかもいいかも!」

僕のセリフを遮るように言葉を繋いでくる。

少しだけ・・・いつもの声と違って聞こえたのは気のせい・・・?

「・・・・・・そうだね。」

そこで終わる会話、相変わらず動くペンの音と教室のざわめき。

いつもの繰り返し。

部屋の片隅では女の子達が固まって話すのが見えた。



「じゃあ、僕は図書館に行ってから部室に行くから。」

そう言って立ち上がる。

君が顔を上げる。

一瞬目が合う・・・・。

「ん、俺はこれ写し終えたら行くね!」

いつもの笑顔にいつもの言葉をのせて君がノートを振る。

「じゃ、あとで。」

今度は僕が目をそらした。



背中に視線を感じて教室を出る・・・。




日に日に育つこの感情を何と名付けていいか分からない。

でも君を見つめて

君から見つめられたいという願いは大きくなる。

今の関係から変わりたいという自分がいる。

もうきっと止めることは出来ない。

・・・・怖くないと言えば嘘になる、けれどこの想いを大切にしたい。





・・・・ねえ、君はどう思ってる?・・・・

・・・・君の目は誰を見つめている?・・・・

心の問いかけは全て君へ。






そして君を手に入れる・・・・・・。



Copyright(C)2002  日生 舞 All rights reserved