この一杯を飲み終わるまで

好きか 嫌いか と聞かれれば

好きなんだろうとは思う

出会ってから長いがあえて意識したことはなかった

幼い時から言葉を交わすのが普通で

共に時間を過ごしていても窮屈な思いをしたことがなかったから

空気のよう・・・例えればそんな感じだが・・・

でもそれとも違うような気がする

ただ嫌いではない

それだけは確かだ


時を重ね 成長するにつれて共に環境も変わってくる

目指すモノは同じでも

あいつはあいつの世界で

俺は俺の世界で

共に過ごす仲間も変わってきた

そして今自分でもよく説明出来ない感情を持つ奴も知った

それはあいつも同じだった

このまま時が素直に流れれば

もう俺達は交わることなく

それでも顔をあわせれば昔話の1つぐらいする仲になっていたんだろう

たぶん・・・・

俺は切ったばかりの携帯を見つめた





”今から良いかな?”

そう聞いてきた声は1つの答えしか求めていなくて・・・

”ああ”

短く答えた俺も他の答えは持っていなくて・・・

いつもと変わらないやりとり

やっていることに反して穏やかな会話が妙な感じだ・・・


恋でもない まして愛でもない

友情・・・・の域はとっくに越えている・・・そんな間

”僕は君が好きだよ? 君だって・・・”

微笑みながら言う奴の心にはいつも一人の男がいて

どんなときでもその影を追っていて・・・

そして俺の中にもきっと似たようなものは存在している


ふっ・・・笑ってしまう

あまりの馬鹿馬鹿しさに

そしてそれに付き合う俺自身にも

”何をやっているんだ”といつも思いながらも

でもきっと

俺は差し出された手を握りかえしてしまうのだろう




飲みかけのカップにまた手を伸ばした

もうすぐあいつが来る

この一杯を飲み終わるまで

くだらない感情に自分を沈めるのも悪くない

それが今の俺なのだから・・・


2004・12・3 日生 舞