ガラスの器に水が張ってあり、緑色の藻が底から生えている、そんな中に赤いベールを揺らしながら泳いでいるのは、俺、金魚。

名前は無い。

此処の家の者は好きに俺を呼んでいる。

だから、あんたも好きに読んでいいぜ。

少し、俺の昔話に付き合ってれるかい?

いや、付き合ってくれ。

俺、もうすぐ生まれ変わっる為に、この家をさようならするんだ。



俺が、この家に来たのは、4年前の夏祭り。

此処の少年に金魚すくいより、すくわれて来た。

此処は良い所だった。日当たりのいいところに鉢を置いてくれたい、餌もちゃんと食べさせてくれた。

俺は、そのたびに泳いでは自慢の尾びれを舞わせたんだ。

なかなか住み心地の良い所だと思っていた。

そうこうするうちに、冬が来た‥‥‥窓から落ちる白いものを始めて見た俺は、驚いた。

そして、もっと驚いた事は、赤ん坊を奥さんが連れて戻ってきた事だった。

「京介、ここがあなたの家よ」

そう言われてその子を近くに敷いてあった蒲団に寝かせた。俺の鉢からも良く見える位置だったので、その新顔を何気なく見て、俺の小さな心臓が破裂するかと思うくらい、大きな音をたてた。

《秋月さんだ‥‥‥秋月さん》

俺は、近くに行きたいと思ったが、鉢と水が邪魔をした。

そして、秋月さん、いや今の名は京介だから、そちらの名で呼ぶ事にする。

その後、京介と同じ部屋で過ごすことになるんだ。

俺は、鉢の中でこう思った。

《京介の小さい頃が見れるなって‥‥‥秋月さんとは大人に成ってからだからな‥‥‥》

んっ‥‥‥いいだろう。羨ましいだろう。京介の小さい頃は、黒いおめめがパッチリとしてて、可愛かったぜ。



そのまま、2年が過ぎた。

京介が大きくなっていく様子を、鉢の中から見つめていた。

京介は俺にも興味を持ってくれたようだ。ヒサさんと一緒に餌をくれた事もある。

でも、京介が大きくなっていくのを見て、俺は思った・

《このまま、金魚だったら、俺は京介と幸せになれない。下手をすると京介が彼女連れてきても、邪魔でき無い!!》

俺は、あの人と幸せになりたい。あの人を幸せにしたいんだ。

そう祈り続けたら、神様って居るんだって思った。

俺に生まれ変われるチャンスが来たんだ。

そして、俺は今日、寿命を迎えた。心に残ったには、3歳になる京介の泣き顔だけ。





あの世

「で、何に生まれ代わりたいですか?」

「人間、それも岩城京介と一緒に過ごしたい!!」

俺は、天国?の生まれ変わる所で、力説した。

「人間ですね。希望、岩城京介にかかわる事‥‥‥でしたら、苦労しますがありますよ」

背中に羽の生えてる、子供が俺に聞き返す。

「かまわない」

俺は即答した。

「はい、ではこちらの家の子供として生まれ変わっていただきます。苦労をしますが、うまく行けば岩城京介との恋人生活が、失敗すれば最悪ですけど、よろしいでしょうか?」

再確認をしてくるが、

「かまわない。俺は、岩城さんと今度こそ、幸せになる」

きっぱりと言い返した。

「解かりました。では、こちらにお乗りください。母親のおなかの中に転送します」





そして‥‥‥‘75・6・9‥‥‥

香藤家に男の子生まれる。

名を、洋二と付けられた。



2004/05/22           sasa



★asさんの描かれたイラストからsasaさんがこんな素敵なお話書いてくれましたv
ありがとうございます!
岩城さんと出会うために香藤として生まれ変わる・・・
その気持ちの強さが伝わってきますv

年下のワケ・・・なるほどvって感じですね(^o^)
sasaさん可愛いお話ありがとうございますv

それにしても3歳の岩城さんの泣き顔・・・見たいなあ〜(おいおい;)v