美しい人


「侘助」−椿の一種。
ほかの椿の仲間とくらべて花が開ききらないのが特徴。
茶花として旧くから好まれてきたつつましく優しい印象の可憐な花である。


どういうわけだか俺に茶道の家元の役がついた。
所作は業躰と呼ばれる偉い先生が教えてくれるんだけどけっこう大変。


「あ〜あ、岩城さんならさ〜正座慣れてるし、着物も平気じゃん」
「おまえだって冬の蝉で着物は平気になっただろう?」
「それはまぁそうなんだけどさ〜普段の生活には無い動きって言うか、
無駄が無いって言うか。俺って普段すんごく無駄に身体動かしてるんだなって感じ」
「そうだな、茶道の所作なんて省けるだけ無駄を省いてるようなとこ有るしな。
その割にしなくちゃならないこと多いだろ?」
「そうなんだよねー。派手な動きじゃないけどさ、きっちりしっかりしないと
ぐずぐずですっごいカッコ悪いの。俺がっくりきちゃったもん、自分の見てさ。
なんかねえ、妙になよっとしてる感じでキモチ悪いんだよ。業躰先生に渋い顔されちゃったもん」
「あはは。意識しすぎてるのかもな」
「笑い事じゃないよ、ホント」
「で? それだけじゃないんだろ?何か言いたいことがあるんじゃないのか」


さすが岩城さん。無駄口たたいてる俺をしっかり見てくれてる。


「うーん。あのさ、侘助って知ってる?」
「ああ、椿の一種だ。茶花によく使われるな、それがどうかしたか」
「侘助ってさ、ちょっとこう控えめ過ぎる感じがして俺にはまだ良さがいまいちなんだよね。
 きれいな独特の色合いだし、あの葉っぱのピッてしてるとこも凄くこう凛々しくていいんだけどさ。
 何だか物足りない感じもして、茶室にあるとちょっと辛い気持ちになったりしてさ」
「・・・香藤、『わび』って何だと思う?」
「?」
「『わび』ってのは心のなかにある、わびしさとかさびしさとかの満たされない気持ちを認めてやる
 ところから始まるんだそうだ。感情なんて満たされない部分を埋めようとすればするほど、
またいっそう満たされない部分は生まれてくる、永遠の追っかけっこだな。
必ず不満足な部分てのは残るもんだ。その欠けている部分を認めて受け容れてみるんだな。
侘助だってそうなんだろうな、開ききらなくていいんだよ。それでも十分にきれいだろ?」
「・・・岩城さん!」

俺は軽い眩暈を覚えながら目の前の美しい人を抱きしめた。










ようこさんからいただきました(^O^)
語る岩城さんの様子が目に浮かびそうです・・・素敵v
本当に岩城さんは和装も凄く似合うでしょうねえ〜
ぽわわわんvvvv
目眩を起こす香藤くんのお気持ち、分かりすぎですv
そんなあなたが一番綺麗なのよ!岩城さん(o^^o)

ようこさん素敵なお話ありがとうございますv
心が穏やかになりました〜