Blue Light




「いい? つけるよ?」

子供のような声を肩越しに聞きながら岩城は少し顔を上げる。

カチッ・・・小さな音がしてバスルームが青い色に包まれた。

「・・・・・」

一瞬言葉をなくす。

「ね? 岩城さん・・・綺麗でしょ?」

「ああ・・・」

微かに光が揺れる・・・その動きを見ているとなんだか海の底にいるようなそんな気持ちになった。

「リラックスするためのものなんだって いろんな色があったんだけど青にしたよ」

そう言ってチュッと岩城の耳の後に口づけを落とした。

それに首をすくませながら岩城はその光を見つめた。





「たっだいまーー!」

「おかえり 早かったな」

元気な声と共にリビングに入ってきた香藤に少し前に帰っていた岩城は振り返った。

ちょうど珈琲を淹れようとした時だった。

「あのね 岩城さん! ちょっといいもの買ってきたんだ〜」

へへっ・・・と笑いながらごそごそと鞄の中から包みを出す。

「なんだ?」

「じゃーーん!! これ!」

香藤が手にしたものは四角い箱に入ったもの。

何か写真が載っているようだが、よく見えない。

「これで今すぐ風呂に入ろう!」

「風呂?」

「そうお風呂!!岩城さんも入るんだよ!俺、用意してくるから!!」

と 言いたいことだけ言って浴室へと行ってしまう香藤に しばし呆然としてしまった。

結局手にしているものが何か分からないまま 今度は用意が出来た!という香藤に手を引かれ・・・



・・・嵐みたいだな・・・

そう思い返すと岩城はふっと笑った。



「なに?なに?」

香藤が顔を覗き込む。

「いや・・・何を買ってきたかと思えば・・・店で見かけたのか?」

「現場でスタッフの人がこういう風にしているとか聞いてね 結構いい感じとか言うからどんなものかなって」

「海の中にいるような感じだな」

「そうだね・・・たまにはこういうのもいいね 海の中・・・岩城さんとふたりっきり・・・って感じがする」

世界にふたりっきり・・・・かも・・・・と香藤が小さく呟く。


少しだけ強く抱きしめられ 岩城は前に回された手に自分のを重ねる。

「最近 ちょっと仕事がきつかったでしょ お互いに・・・だからつい手が出ちゃったよ」

気分転換になれば・・・・とも思った。

「ありがとう 香藤」


それでもここ数日帰りが遅かったのは岩城の方で・・・その分疲労も多いだろうと考えてくれたのだと岩城は思った。

少しでもそれを癒してあげたい・・・そう思う気持ちが嬉しかった。

背中に感じる体温が嬉しかった。




「でも・・・・お前とこうやってゆったりした時間を過ごせれば俺にとってはそれが一番だからな」

例えこの照明がなくても・・・・心の中で言葉を繋ぐ。

「・・・・・うん うん 分かってる・・・・俺もそうだから」

そして抱え込んだ岩城の身体をそっと撫でる。

青く照らされる水面が揺れる。

「こうやって・・・・・岩城さんを抱きしめて肌の感触を確かめて・・・キスをしたら」

チュッと今度は肩にキスを落とす。

「どんなに疲れても俺の疲れは吹っ飛ぶからさ」

「・・・・香藤」

岩城はその後の言葉の代わりに顔を傾け・・・・・香藤の頭を抱えた。




目を閉じると見えないはずの青がもっと強く自分達を包み込むように岩城は感じた。

今感じるのは愛しい者の熱と

そして自分の熱。

この世に今ふたりっきりしかいない・・・そう信じられるほどに。



青い光が水音と共にまた・・・・揺れた。




2006・12・7
日生 舞



いつも風呂場で青い照明をつけているので(^^;)
(リラックス用のを買ったv)
おふたりにも体験して貰いました(笑)