永遠の幸せ
「たっだいま!」 仕事の打ち合わせ出ていた香藤は元気よくリビングのドアを開けて帰ってきた。 「おかえり」 本を読んでいた岩城は顔を上げて迎えた。 「今日は寒いねえ〜さっき雪が舞っていたよ。積もらないだろうけど」 来ていたジャケットを脱ぐ。 「もう少し早く帰るつもりだったんだけどさ、スタジオ出る所で小野塚につかまっちゃってさ〜」 久し振りの仕事が楽しかったのか、妙にはしゃいでいる香藤に岩城は微笑む。 一時の仕事の状態を思えば、今は少しずつでも元に戻ってきていると言っても良かった。 あまり言葉にはしなかったが、やはり香藤自身色々考えてはいたはずだ。 こんな風に笑っている香藤を見るのは久し振りで、それが嬉しかった。 「冷えただろう、コーヒーでも淹れよう」 本を閉じて立ち上がった岩城に香藤が声をかける。 「あ、そうそうこれ何か知ってる?」 「?」 ごそごそと大きめの紙袋からそっと小さな鉢を取り出し岩城の目の前に差し出した。 「なんだ?・・・・・これ・・・・福寿草か?」 「あったり!さすが岩城さんだね」 「どうしたんだ?」 小さな鉢を香藤の手から取り眺める。 小さな枝の先に黄色い蕾と咲いた花が付いていた。 「スタジオ近くのお店でね、岩城さんへのお土産だよ」 黄色い花が目について無性に気になったという。 お土産という言葉に笑みがこぼれる。 その短い言葉がなぜか心に伝わってきた。 「そうか・・・これ、元日草とも言うはずだ、確か・・・」 「へえ・・・だから、おめでたい花って言っていたのか、お店の人」 「正月に飾る花だからな。でも繁殖は結構難しいと聞くぞ?」 「そうなの?」 「種から花を咲かせるのに5年くらいかかるとか言ってたような・・・」 それを聞いてへえーっと再度感心しつつ、香藤はどことなく嬉しそうな顔をする。 「どうした?」 「ん? ・・・岩城さん、この花言葉、知ってる?」 「いや」 「あのねえ、俺もお店の人に教えて貰ったんだけど・・・”永遠の愛”って言うんだって」 「・・・永遠の愛・・・」 「そ、だから・・・きっと育つまで時間がかかるんだね・・・ゆっくり育っていくんだ」 香藤は岩城を見つめる。 「俺達みたいだよ・・・最初は色々あったけど・・・でも今はこんなに幸せだし」 「・・・そうだな」 今でも何も問題がない訳ではないけれど、それでもその都度ふたりで解決していっている。 岩城はその度に自分の思いの深さに驚き 香藤の思いの深さに包み込まれて・・・。 少しずつ少しずつ重ねていった互いの思いが今のふたりを作り上げていったのだ。 「花言葉聞いた時、これだ!とか思っちゃって・・・だからこれ、お土産」 「・・・・ありがとう」 そう言って、香藤に顔を近づける。 互いに見つめ合い、そっと唇を合わせた。 「・・・・・岩城さん・・・コーヒーも良いけど・・・岩城さんで暖まっていい?」 唇を離した後、頬にチュッとキスを落とし香藤が耳元で囁いた。 岩城はくすっと笑う。 「・・・ああ、俺もお前を暖めたい」 そう言うと鉢を脇のテーブルに置き、ソファーに倒れ込んだ。 軽く身体が弾み笑みがこぼれる。 「岩城さん・・・温かいね・・・・」 岩城は服に忍び込んでくる香藤の手の冷たさに煽られながらも息を吐く。 そして腕を絡ませながらゆっくりと目を閉じた。 より強く香藤の熱を感じるために・・・・。 ・・・永遠に続く愛に繋がるこの瞬間を感じていたかった。 テーブルの上の福寿草が揺れた・・・・ そんな昼下がり。 2005・1・7 日生 舞 |
昨年、あるサイト様へ貰って頂いたものですが
閉鎖されたので、こちらで掲載させていただきました
冬の花の”福寿草”で書いたものなので季節はずれですが;;
でも覚えているうちにやっておかないとうっかりしちゃうので
ご了承下さいませ;
福寿草になりたい・・・・笑