素敵なプレゼント


「ん?」

しまい込んだ物を探している時に箱の底から出てきた1枚の写真。

洋子はそれを手に取った。

・・・あ、これ・・・

もう20年以上は経つのではないだろうか。

大きなケーキを目の前に上機嫌の兄とその兄の持っているオモチャをとろうとしている自分。

「なつかしー」

思わず声が出た。

「お兄ちゃん、可愛い!!」

仲がいいあまりに喧嘩も良くする自分たちにとって、今だからこそ出る言葉だ。

本当に洋介とそっくり・・・

写真をしみじみ眺める・・・くすくすくす・・・笑いが零れる。

元気いっぱいの様子が写真でも分かる兄。

兄に贈られたおもちゃが欲しくて何とか手に入れられないかと狙っている自分。

そんな兄妹をきっと”静かにしなさい!”なんて言っているだろう母とこの場面を撮った父。

「こんな頃もあったわよね・・・」

過去の幸せな時間を思い出し・・・1人呟いた。

「ママ?」

写真を見て笑っている母親に洋介が部屋に入ってきて首を傾げた。

「あ、そうだ!」

何かを思いつきカレンダーを見る・・・・まだ間に合う。

「洋介、お手紙書こうか?」

「お手紙?」

「そうお手紙!」

「うん!書く!」

パタパタと嬉しそうにお気に入りのクレヨンを取りに行く我が子を見つめながら洋子はまた微笑んだ。






「たーだいま!」

靴を脱ぐのももどかしく、リビングに飛び込んだ。

「おかえり 早かったな」

キッチンの方から声がする・・・香藤はキッチンに入るとシンクに立つ岩城の後ろから抱き付いて

「ただいま〜岩城さん」

チュッと頬にキスをする。

誕生日だというのに半日だが仕事が入った。

オフになれば・・・と思っていたのだが、どうしてもそれは出来なかった。

「ごめんね、岩城さんはオフだったのに・・・」

「まだ言っているのか・・・。ちょうど下準備が出来た頃だったから良かった・・・と言っても材料を切るだけだがな」

早く着替えてこい、と言われ香藤は返事もそこそこに駆け出す。

テーブルの横を通る時に封をしたままの手紙が2通ずつあるのが見えたが大して気にとめなかった。




「おまたせ〜って、あれ?」

着替えて戻ってきた香籐が見たものはテーブルに座って写真を見ている岩城だった。

手元にはさっきの手紙・・・どうやら1通開けたらしい。

「何? 写真?」

香藤が近づくと、すっとそれを反対の手に持ち替えられた。

「岩城さん?」

訳が分からずに顔を見つめると、ぷっと岩城さんが吹き出す。

「え?何?何?」

おかしそうに笑う岩城はそれには答えずもう1通の手紙を差し出した。

「これはお前宛だ」

「・・・あ、洋介だ!」

差出人を確認して、嬉しそうに声を上げる。

字は明らかに妹のものだが、可愛い甥っ子からはやっぱり嬉しい。

ガサゴソと封を開けると・・・中から4つに折りたたんだ画用紙が出てきた。

広げてみると・・・そこにはクレヨンで描かれた自分とその横にはちゃんと愛しい人。

「ほらほら見て!岩城さん!岩城さんと俺だって!!」

そこには花を持っているふたりがいた。

喜ぶ香藤と共に絵を覗き込む。

ふたりが家の横に立っている絵・・・彼の目にも自然と自分たちが映っていることが嬉しい。

「良かったな・・・素敵なプレゼントだ」

そう言いながら香藤の頭に手を置いた。慣れ親しんだ柔らかさが指に絡む。

うん・・・と岩城の肩にしばらく頭を乗せていたが・・・香藤ははっと思い出したようだった。

「あ、さっきの写真!」

「何だ覚えていたのか?」

おかしそうに岩城が答えた。

「忘れないよ!で、何? 何の写真なの?」

そう問うと岩城はまた何かを思いだしたように笑う。

「もう!岩城さん?!」

「ああ、悪い。これだよ」

岩城は脇に避けていた写真を見せる。

そこには・・・・

「あー!! これ何! 俺じゃん!」

そうそこには幼い頃の自分と妹と母親・・・・そしてこれを撮ったのはおそらく父親だろう。

「洋子さんが送ってくれたんだ、最近出てきたって」

添えられた手紙には

”お兄ちゃんの誕生日ですが、岩城さんにプレゼントです”とあった。

岩城の知らない幼い頃の香藤がそこにいた。

その笑顔は今と変わらない・・・。

「でもさせっかく送ってくれるならもう少しいい顔に写っているのにして欲しいな!」

写真の中の笑うチビ香藤の口の周りにはクリームがついている。

「まだローソクの灯を消してないのにな」

我慢出来ずに食べたのだろう・・・・・その様も可愛い。

「宝物が増えたな」

そう言いながら岩城が写真をしまう、大切に・・・。

「えーやだよ!そんな写真!ね、もっと可愛い俺が写っているのを今度持ってくるし!」

「いや、これでいい、これがいいんだ」

穏やかに優しく岩城が言う。

「岩城さん・・・」

ふたりの顔が近づいてキスをする。

まわした腕が互いの身体を引き寄せた。口づけが深くなった。

「ね・・・岩城さん・・・先にこっちのプレゼント貰ってもいい?」

すうっと岩城の背中を香藤の指が辿る。それに少し身じろぎしながら・・・

「・・・誰もプレゼントだとは言ってないぞ?」

少し意地悪そうな答えが返ってきた。

「岩城さ〜ん!!」

それに香藤が情けない声を上げる。

その声を聞いて岩城がまた笑った・・・・・。






そんなこんなの誕生日・・・・・・

画用紙の中のふたりも笑っていた。


2005・6・17
日生 舞


香藤くんBDSSのつもり・・・・汗
ちょっと違った視点で書いてみたくなったんですが・・・玉砕してます;
ふふふ、何が書きたかったんだ;;私・・・・;;;
(大遅刻だし!)
とにかく おめでとうございます!香藤くん!
Happy Birthday!!!