揺らされ・・・そして揺らしてしまう身体を止めなかった。
漏れる声を今日は無理には抑え込まなかった。
与えられる快感が身体の隅々まで行き渡るように・・・
おまえのぬくもりを全身で感じるように心を委ねた。
いつもと違う俺におまえは気付いただろうか・・・
快楽に溺れて流す涙の本当の意味を気付かれなかっただろうか・・・
抱きしめ返した力に、嬉しそうに微笑んだおまえの顔が愛しかった。
そして哀しかった・・・。

規則正しく聞こえる背中越しの寝息が明るくなりかけた部屋に染みこんでいく。
今・・・そう、覚悟を決めた今でもこの瞬間が永遠に続けばいいと思っている。
終わりを望みながらも、最後まで手を離せなかったのはおまえではなく自分だったのでは・・・
そんな問いを繰りしては、答えは出ないままに朝を迎えようとしていた。



何が良いのか
何が悪いのか
何処で間違ってしまったのか
何処までが正しかったのか



この離れで考え続けて・・・言葉を探し続けた。
見つからない言葉を無言に託して逃げていた。
おまえを苦しめて・・・俺も苦しんで・・・
本当にどうすればいいのか分からないままにここまで時を過ごしてしまった。

何処かで雪刷りの音がした・・・
もうすぐ全てが終わる・・・
最後の朝だ












叫んで・・・叫んで・・・叫び続けた。
動かなくなった身体を抱きしめて泣き叫んだ。
溢れ出た涙が美しい顔に落ちる。
どうして!どうして!どうして!
答えが分かりすぎるほどに分かっている問いを繰り返し泣いた。
自分の無力さで打ちのめされる。
何よりも誰よりも大切に大切にと思う気持ちと
この人を失う訳にはいかないという・・・それはもう執着にも近い思い・・・
それでも何と思われても手放せなかった。


初めて抱き返された手に我を忘れた。
添えられるのではなく力を込めたその腕に溺れた。
部屋に入った自分をあんなに穏やかに受け入れたことは初めてで・・・。
あの頃に戻ったんだと愚かにも喜んでしまった。
もう全てのことを決めたその想いを、うかれた自分は見つけられなかった。



生きていることに苦しむ姿
心を閉ざした顔
交わされる会話
それでも熱い肌・・・



この命ある限り守ろうと誓った。
それは自分に課したもの。
でもそれはこの手からすり抜けて旅立ってしまった・・・たったひとりで・・・
流し続ける涙が白い雪に溶けていった。
・・・秋月さん・・・俺も・・・いいよね?

赤く染まったそれを手にする・・・
そして1度だけ灰色の空を見上げる。

白い白い雪・・・いつかふたりで笑って見上げたいね・・・。










何年経っても消えはしない
いくつもの季節が通り過ぎても
いつもそれは己の中に深く根ざして・・・・問い続ける



俺がしたこと
あいつがしたこと
俺の言ったこと
あいつの言ったこと



あの日から問い続けて問い続けて・・・・それでも出ない答え

もうどれくらい涙を流していないのだろう
今・・・人生の最期にふとそう思った
しんしんと降り続く雪は
いつでも自分の代わりに泣いてくれているようだった

泣くべきではないと思った
そんな感傷に自分を置いてはダメだと言い聞かせて過ごしてきた

それが自分の罪のように
科せられたことのように

そしてまた雪が降る

いつか・・・いつの日か共に語り合える時が来るのだろうか
またあの魂と出会える時が・・・

そんな想いを嘲笑しながら
それでも・・・そう願った














涙のように降り積もる雪が全てを包み込む
真っ白に染め上げて・・・

季節が流れ 
雪が花びらに変わる時
幸せがそこにありますように・・・・・



それは
遠い昔 三つの魂が願った唯一のこと




2005・4 日生 舞






春企画で「涙」を書くことになった時に
この文を前半にそして同盟への掲載文を後半に・・・・
と思って書いた物ですが
この部分と後の部分の雰囲気が変わり過ぎかな・・・?と思い分断しました
よって企画の文はこちらを受けてのラブラブになります(・・・・のつもり 汗)