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おかえり
今までは特に気にしたこともなかった
だってずっと一人暮らしだったし
親と一緒の時はそれが当たり前だったし
でも
でもね
今は違うんだ
それは特別な意味を持つ言葉なんだ・・・
鍵を開けて 玄関の靴を確認する
・・・帰ってる、帰ってる!・・・
ちょっとわくわくして、そしてドキドキして息を吸った
「ただいま〜!」
リビングに向かって叫んだ
し〜ん・・・・
・・・あれ?・・・
少しだけ急いで靴を脱ぐ
また後で『ちゃんと揃えろ!』とか言われそうだけど、気にしない
ガチャ、ドアを開ける
・・・なんだ、いるんじゃん・・・
「た〜だいま!」
声と一緒にシンクに立つ岩城さんの背中に抱きついた
「こ、こらっ、危ないだろ! お湯を持っているんだぞ!」
「あ、ごめん・・・」
本当だ、珈琲入れてたんだ
「まったく、子供じゃないんだから・・・」
と、ため息をつかれる
ちょっと怒られて、しゅんとしてしまう
でも・・・・何をして良いのか分からないままに、そのまま岩城さんの側に立って
珈琲がカップに注がれるのを黙って見ていた
「お前も飲むんだろう?」
急に俺の方を見た
「うん」
「じゃあ持っていてやるからソファにでも座ってろ」
「うん・・・・」
小さく頷いて後ろを向いた途端、腕を捕まれた
「え?」
「すまん・・・・忘れていた」
そう言うと岩城さんは俺の頭に手を置いて、くしゃくしゃとして・・・・
「おかえり」
俺は嬉しくて嬉しくて・・・・・また抱きついた
「な、なんだ?!」
岩城さんは少し驚いてたけど・・・・
香ばしい珈琲の香りが部屋を包む
「もう1回言って・・・」
そう耳元で囁いたら
「何回も言うもんじゃないだろう?」
呆れたように言われたけど・・・・
でも軽く俺の身体を抱きしめ返してくれた
「おかえり」
言ってもらえる幸せってあるよね・・・・・
2003・5・11
日生 舞
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