香藤の家からの帰り道、小野塚は路肩に車を止めて携帯を手にした。
「お前今家か?これから行ってもいいか?じゃ、後でな。」
簡潔に電話を終えると再び車をスタートさせる。


着いた先は宮坂のマンションだった。
「何の用だよ?急に来ていいかなんて。」
「別に。バレンタインにデートする相手もいない寂しいやつの顔見に来ただけ。」
小野塚はずかずか中に入るとベッドに腰を下ろした
「なっ・・今ここにいるお前も人のこと言えねーだろーが。」
「俺は特定の相手作んのがメンドーなだけだ。猪男と一緒にすんな。」
「ッ・・・・」
痛いところを突かれて言葉に詰まった宮坂は小野塚が持って来た紙袋に目を留めた。
「小野塚、何それ?」
「ン、これか?ほい。」
差し出された袋の中にはカップケーキが二つ。
宮坂は驚いたように何度もケーキと小野塚の顔を見比べた。
「これ・・・手作りだよな?お前がこんなの受け取るなんて。相手は誰なんだ?女優?」
「女じゃねーよ。」
「へ?」
「それ作ったのは男だつってんの。」
「えっ、お前もとうとうその道に?イテッ。」
小野塚は宮坂の向う脛に軽く蹴りを入れた。
「チゲェよ。余ったのを貰っただけだ。」
「誰に?」
「岩城さん・・・・・」
次の瞬間ケーキのひとつは宮坂の口に収まっていた。
「・・・のために作ったって言う香藤に。」
「ングッ・・・・・・」
ケーキを詰まらせたらしい宮坂は苦しそうに胸を叩きながらよろよろと冷蔵庫に向かった。
ミネラルウォーターでケーキを流し込んで振り返ると小野塚は呑気にケーキを齧っていた。
「うん、結構美味いじゃん。」
「テメェちっとは心配しろよ。」
「ンなもん詰まったからってどうにかなるかよ。」
小野塚は宮坂の手からペットボトルを奪うと水を飲んだ。
「さてと、ケーキも食ったし、帰るか。」
「お前、ホント何しに来たんだよ!?」
「暇つぶし。」
「人で遊ぶな!」
「いいじゃん。おかげで岩城さんと同じケーキ食べられただろ?じゃあな。」
「嬉しかねーよ、香藤の作ったケーキなんか!」
宮坂の怒鳴り声を後ろに聞きながら小野塚はヒラヒラと手を振って部屋を出た。


「あの分だとまだ完全に吹っ切れたってとこまではいってねーな、あいつ。」
完全に無理だと諦めていながら思いを残す。
香藤の岩城への惚れ込み振りと同じくこれも小野塚には理解できなかった。
叶わない思いをずっと引き摺っていても辛いだけだからさっさと忘れればいいのにと思う。
(ま、それができるくらいならあんなバカなことしてねーか。)
小野塚はシートに預けていた背を起こし伸びをした。
「しょーがね、感傷に浸ってる暇がないよう俺が遊んでやっか。」
キーを回そうとした小野塚は意外に世話焼きな自分に気づいて自嘲する。
「あいつらに影響されたかな。」
でもそんな自分も悪くはないと小野塚は微苦笑して車をスタートさせた。



グレペン




きゃんv 大好きです、この雰囲気!
小野塚くんと宮坂くんのやり取りが楽しい〜vvv
結果的に香藤くんは悪友にも手作りを振る舞った事になるわけですね?(笑)
ということはホワイトデーにお返しがあるんでしょうか?(いやいやいや・・・笑)
グレペンさん本当にありがとうございますv
あの話の続編が読めるなんて嬉しいです(o^^o)